輪読会レポート 2019年7月3日 | 飼い犬と飼い猫の関係・研究室で動物を飼おう・老人の転倒予防には、、?・犬の問題行動には飼い主の意識が重要・トランスジェンダーとアイデンティティのサポート

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本日の輪読会は5題でした。

 

~~(=^・・^=)~~

題目1「Evaluation of the relationship between cats and dogs living in the same home」
同じ家で暮らしている猫と犬の関係性の評価

Jessica E. Thomson, Sophie S. Hall, Daniel S. Mills
Journal of Veterinary Behavior 27 (2018) 35-40

目的:

犬と猫を飼育している家庭において、犬と猫の関係性を評価し、それに影響を与える要因を探ること。

方法:

犬と猫を1匹ずつ飼育している 1311人の飼い主に対して、オンライン上のアンケート調査を行う。
内容は「飼い始めた時の、犬と猫の友好度」「犬と猫の人口統計学的情報(性別、年齢、居以西の有無、等々)」「現在の、犬と猫の関係性や友好度」など。

結果:

飼い主は比較的に、猫と犬の関係性は良好であると感じている傾向にあり、10段階中で6.46という平均値であった。
多くの因子が、その関係性に影響を与えていた。
特に、『飼育を始めた時の猫の年齢の若さ』『猫は、犬の周りにいて不快に見えるか』といった項目が強い関連要因となっており、両者の関係性には『猫』によって強く影響されることが分かった。

虎太郎所感:

猫の研究者として、これは非常に面白い結果でした。
人と猫の関係性においても、猫の行動をベースにコミュニケーションをとる方が良い、といった解釈のできる研究があります。
本研究の結果は、犬との関係性においても、猫が主導権を握っている可能性があることを示しています。

しかしながら、では実際に猫や犬を飼うときに、どっちを先に飼育していた方がいいのかといった順序効果や、飼育期間についての検討がされていないなど、まだまだ確認すべき項目はあるように思います。

 

 

題目2「Pets go to College: The Influence of Pets on Students’ Perceptions of Faculty and Their Offices」
ペットを大学へ:研究室や施設に対する学生の認知におよぼすペットの影響

Meredith Wells & Rose Perrine
ANTHROZOÖS, 14(3), 2001

目的:

大学の施設に対する視覚的な印象において、犬や猫がいることはどれほど影響をおよぼすか検証すること。

方法:

大学生257人を3群に分け、それぞれに写真に対する印象を評価をしてもらった。
『動物のいない施設の風景写真』
『犬 (ゴールデンレトリーバー) がいる施設の風景写真』
『猫 (ペルシャ) がいる施設の風景写真』

結果:

「快適さ」および「教授に対する親しみやすさ」において、犬が写っている写真が最も高く評価された。

「教授の忙しさ」において、猫が移っている写真は評価が高かった。

虎太郎所感:

教授に対する印象は、研究室に在室している学生にとっては非常に重要です。忙しさや親しみやすさは、教授に話しかける際に重要な部分です。忙しそうで怖い印象を持つ先生には、入室するだけでもかなり勇気がいりますよね。

諸先生方、動物を飼いましょう。

 

 

題目3「Relationship between the change in one-leg standing time due to visual information interception and hip joint internal rotation pattern」
視覚情報遮断による片足立ち時間の変化と、股関節内旋パターンの関係性

Heonsoo Han, Junichiro Kaneko, Myungchul Kim, Masahiro Ishizaka, Akira Kubo, Hitoshi Maruyama
J.
Phys. Ther. Sci. 30: 794–799, 2018

目的:

高齢者の転倒を予防するために、股関節の可動範囲 (Hip Internal Rotation Range of Motion: HIR ROM) と片足たち時間 (One Leg Standing Time: OLST) との関係性を明らかにすること。

方法:

101人の学生を対象に、ゴニオメーターにて股関節の可動範囲を測定する。
片足たち時間を測定することで、その2つの要素の関係性を確認する。

結果:

股関節の可動域に左右差があるグループは、目を閉じて片足立ちをした場合、可動域が広い足でより長く立っていた。

虎太郎所感:

読み込みが浅く、少し研究の目的がつかめない部分がありました。
が、視覚情報と股関節可動域に関連性があったことは分かりました。

高齢者は、認知機能が衰えると同時に、身体機能も低下していきます。この2側面は、独立した転倒発生要因ではなく、相互に関わり合っているものと言えます。
『身体面 (障害物を避けるためにバランスをとるとか) に思考のキャパを割くためには、認知面を鍛えてキャパ自体を大きくすること』が大切であり、『認知面 (障害物を認識してどう避けるかを判断する)  に思考のキャパを割くためには、身体面を鍛えてキャパ使用をなるべく節約すること』も大事です。

 

 

題目4「Owner and animal factors predict the incidence of, and owner reaction toward, problematic behaviors in companion dogs」

Federica Pirrone, Ludovica Pierantoni, Silvia Michela Mazzola, Daniele Vigo, Mariangela Albertini
Journal of Veterinary Behavior 10 (2015) 295-301

目的:

犬の問題行動を、「問題のある行動」「望ましくない行動」に分類することで、その解決策や発生要因を詳細に分析する

方法:

アンケート調査を実施。
371の飼い主に対して、「飼い主の人口統計学的情報」「飼い犬の人口統計学的情報」「飼い主と犬の関係性」、そして「犬の問題行動について」の4パートのアンケートに回答した。

「犬の問題行動について」のパートでは、『自分の犬が、望ましくない、もしくは問題のある行動を持っているか』についてなどの質問や、15種類の行動 (無駄吠え、異食行動など) の有無について回答した。

結果:

飼い主の65%が、その飼い犬に対して『望ましくないが、問題のない行動を持っている』と回答したものの、そのうちの62.9%がその行動を修正しなくても良いと判断していることが分かった。
一方で、32%の飼い主は、『望ましくなく、問題のある行動を持っている』と回答し、そのうち79.8%がその行動を修正すべきだと判断していた。

すなわち、『問題だと』認識しているか否か、が重要であると考えられる。

さらに、問題行動のうちの11種類は、その『飼い主の認識』と有意に関連性があった。

虎太郎所感:

問題行動を2側面から検討し、分析するという視点が新しいと感じ、なるほどと思いました。

単に飼い主の意識が大切なのではなく、『問題である』と感じているかが重要であるようです。

問題行動は飼い主のみならず、時には周囲の人間にも害を与えます。これらの治療において、飼い主自身の取り組み姿勢が重要であるといいますが、この文献からもそれが読み取れます。

つまり、『問題行動の修正』には⇒『飼い主の意識』が大切であるため⇒『問題であることの認識をいかに持たせるか』がポイントであると言えます。
すなわち、ここにフォーカスした普及啓発活動が必要なのだと思います。

 

 

題目5「Mental Health of Transgender Children Who Are Supported in Their Identities」
彼らのアイデンティティが支えられているトランスジェンダーの子供たちの精神的健康

Kristina R. Olson, Lily Durwood, BA, Madeleine DeMeules, BA, Katie A. McLaughlin
PEDIATRICS Volume 137 , number 3 , March 2015 :e 20153223

目的:

トランスジェンダー (Transgender) の子供たちにとって、周囲のサポートにより自己認識を支えられることは、不安やうつといった精神面に影響をおよぼしているだろう、という仮説を立証すること。

方法:

PROMIS(患者報告アウトカム測定情報システム) という尺度を用いて、以下の3群の子供たちの評価を行った 。

「トランスジェンダーの子供」73人
「トランスジェンダーの子供の兄弟」49人
「そうでない子供」73人

結果:

トランスジェンダーの子供たちは、そうでない子供たちと比較して、不安の数値が高い傾向にあった。

また、性同一性障害 (Gender Identity Disorder: GID) を対象にして行われた実験の結果と比較して、トランスジェンダーの子供たちのPROMISの数値は低い傾向にあった。

虎太郎所感:

統計学的に有意な差はなかったようですが、おおむね仮説通りの結果だったのでしょうか。
母数がそもそも少ないこのような研究において、統計的な差を出すのは難しいようです。(でも、この研究のサンプル数自体は結構おおいか、、。てことは、関連性は無いってことになっちゃうかな)

あと、兄弟を対照群に入れた理由がいまいち読み取れませんでした。遺伝的、環境的な要因との関連性について言及するためなのだとは思いますが、明確に違いが出なかったから論じづらそうでした。

 

~~(=^・・^=)~~

 

本日も面白い題目ばかりでした!

1つ目や4つ目が特に顕著ですが、『その知見をもちいて、じゃあ何をすればいいのかね』って部分にキチンと言及することが大切だと再認識しました。

自分の論文では、そこのところ頑張ります。

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