輪読会レポート|2019年11月13日 ②|動物福祉と飼育環境、動物の行動の関係性・テレビの見過ぎは認知機能を低下させる

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題目4と5を、紹介していきます~

 

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題目4「A preliminary assessment of how zoo visitors evaluate animal welfare according to enclosure style and the expression of behavior」
動物園の訪問者が評価する、飼育の仕方および行動の表現における動物福祉

V.A. Melfi,W. McCormick and A. Gibbs Paignton Zoo Environmental Park, UK

Anthrozoös, 17 (2) . 2004

目的:

動物の福祉を評価する際に、動物の飼育方法、そして動物の行動表出が指標となるのかを調査すること。

方法:

イギリスのペイントン (Paignton) 動物環境公園に訪問した42人を対象とした。

訪問後、8枚の写真2セット、
「コンクリの檻や、自然物の混ざった檻など、さまざまな飼育環境の写真」
「トラの様々な行動の写真」
合計16枚を被験者に見せ、それぞれのセットごとに「動物福祉に関する質問」に回答をしてもらい、それらの質問の相関関係を確認した。

結果:

訪問者は、自然の多い飼育環境を最も高く評価し、質問間での相関関係は強い物であった。

一方で、トラの行動に関しては、活発に動く (登ったり、遊んだりなど) という行動を高く評価し、さらには質問間の相関関係は小さい物であった。

すなわち、動物の行動に関しては、動物福祉を正確に評価する指標には適さない、と考えられる。

虎太郎所感:

肉食の動物は、基本は寝て過ごします。狩りの時間の方がよっぽど少ないです。ましてや、動物園では自動的に餌が給与されるので、ますます捕食行動の必要性は薄くなるはずです。

これは、動物園動物には捕食行動を模した遊び行動を促進させることが福祉に繋がる、という話でもあると同時に、動物園動物の福祉を評価するには活発な行動を見せていることだけでは足りないという話でもあります。

そう考えると、ますます福祉を評価するのは難しいですが、、。

どうしても擬人化して考えた時、グーグー寝てばかり過ごしている動物を見ると『檻の中はやることなくて、暇でしょうがないんだろうな。可哀そう。』という思考を持つ人がいるのでしょう (というか、結構多いのかも、、)。動物の生態を正しく認識できるほどの知識を蓄えた上で、動物福祉を評価する必要があると言えます。

 

題目5「Television viewing and cognitive decline in older age: findings from the English Longitudinal Study of Ageing」
高齢者のテレビ視聴と認知機能の低下: イギリスの老化に関する縦断的研究からの発見

Daisy Fancourt & Andrew Steptoe

Scientific Reports | (2019) 9:2851

目的:

50歳以上の成人のテレビ視聴が、座りがちな行動を促進し、それが認知機能に影響を及ぼすかを調査すること。

方法:

英国縦断高齢者調査 (English Longitudinal Study of Aging: ELSA) のビッグデータの中の3590人を対象とし、「言語記憶」「意味流暢性」に関する認知課題を実施した。

また、テレビの視聴時間などの追跡で調査し、6年後に再び認知課題を実施した。

結果:

テレビの視聴時間は、「意味流暢性」には影響をおよぼさないものの、「言語記憶」には非常に強い負の関係性が見られた。

この関係性は、性別や年齢、身体運動 (座りがち) といった要素を調整した上でも、強く見られた。

虎太郎所感:

圧倒的にはっきりした結果でした。

言語記憶に負の影響がおよぶ原因としては、もちろん座りがちになるというものも1つですが、結果からみるとそれだけではないようです。

筆者は、テレビ視聴による多様なストレス (バイオレンスな描写など) も引き金になるのではと指摘しているようです。
ですが、そこまで深く言及するためには、どのようなコンテンツを見ているかまで調査しないと、なんとも言えないですね。

今後の追跡調査が楽しみです。

 

 

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ウチの研究室は、人と動物の関係学以外にも、健康というキーワードがあるため、輪読会の題目が多岐にわたります。

聞いているこちらとしては、全く知らん様々な知識が得られるので、非常に価値が高い活動です。

学部生の皆さん、お疲れ様でした。

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