書籍紹介「ヒトの目、驚異の進化」|私たちの目が持つ4つの超人的能力とは?

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本の紹介

どんな本か?

 
今回手に取った本は、マーク・チャンギージーさんの「ヒトの目、驚異の進化 」でした。
 
 
この本は、我々がもつ2つの目、すなわち視覚の能力を分かりやすく解説した本です。
 
この本の最も特徴的な部分は、「我々はみな魔法のような超人的能力を持っているんだよ、そしてそれは視覚能力がもたらすものだよ」という切り口で語られる点です。
 
超人的能力?と聞くと始めは大げさに聞こえるかもしれませんが、本書を読み進めていけばそれが大げさではないことがわかります。
 
我々にとって、「視覚」はアタリマエすぎるのです。
朝から晩まで、我々は「視覚」がもたらした情報をもとに、というかそれに依存して日々の生活を送っています。
だからこそ気付かない (まさしく!) 視点から語られる『目』の能力は、われわれに恩恵を多大に与えているのだなぁと実感します。
 
 

読んだキッカケ・目的

 
私の兄がいわゆる読書家で、行動経済学・進化経済学・進化生物学などの多分野の本を読んでいて、その兄から「おもろいよ」といって譲り受けました。
 
読んでみると、確かにおもしろい!
 
序盤から興味をグッと引くようになっています。
というのも、本書の1章は「色覚」に焦点を当てているため、序文の前に色付きのイラストがまとまって記載されています。色彩豊かで好奇心を掻きたてる図の数々は、それを見るだけでワクワクします。
 
序文や解説 (石田英敬 先生) もすごく興味をそそる書き方で、読む前から既にワクワクさせられっぱなしでした。
 
「視覚」というものに焦点を当てた本は今まで読んだことなかったので、良い勉強になるかなとも思い、読んでみることにしました。
 

読むメリット (得られること・勉強になること)

 
 
  • 我々の『目』が持つ機能を、今まで意識したことのない切り口で意識できるようになる
  • ヒトとして、『目』を持って生まれてきたことを誇らしく感じられるようになる
 
 

読んでみた感想

とにかく読みやすい

 
著者のマーク・チャンギージーさんは、TEDで講演したりYoutubeでチャンネルを作ったり、はたまた作家として執筆されるなど、幅広く活動されている方のようです。
「人に伝える」という点を分かっている方だな~と思いました。
 
まず本書は『構成』が明瞭です。
 
本書は人の持つ視覚能力を4つに絞って解説しており、
 
1章「感情を読むテレパシーの力」色覚
2章「透視する力」両眼視
3章「未来を予見する力」錯覚現象
4章「霊読する力」読字能力
 
となっており、章タイトルも分かりやすく、”どの章から読もうかな~”と商品を選ぶような感覚さえ覚えます。
目次が分かりやすい本だと、”いま読んでるこの文章って、何について話しているんだったっけ、、”と、迷子になることがありません。
 
 
また、説明部分を「比喩や例え話」で伝えたり、「著者の子どもたちの日常的な出来事」から発展させて話を進めたりと、読者が理解しやすくなるような工夫を凝らしてくれています。
 
 

「今」と「昔」の切り替えの難しさと、その丁寧さ

 
私のような進化生物学に造詣が浅い人は、読んでいる時にすぐに混乱する場面に出会います。
それは「その能力が進化の過程でどう有利だったの?」という点です。
 
2章の「透視する力」では、左右の目が前向きについているのは「視界の悪い環境でも奥にある物体を視認できるために有利だ」と主張する場面があります。
それを説明するために、「柵越しに奥の環境を覗くと、、」という解説場面が出てきます。
 
ただ、柵は現代に出来た物体であり、「我々の祖先の時代には柵なんてものは存在しないではないか」と感じます。
この時、著者はすぐさま視点を「昔」に切り替えます。
 
『昔』は柵なんてものはないものの、「もっと草花が生い茂る森林で暮らして」いました。それゆえに、「むしろ現代とは比較にならないほど先の見通しが悪い環境」であったことが伺え、だからこそ「この透視能力が進化上有利だったのだ」と主張しています。
 
過去にタイムスリップすることが出来ないゆえに、進化に関わる研究は「現代の生き物や生息環境」で傍証を積み上げていくしかありません。さらに、著者のように、分かりやすく説明するために「現代」に寄り添った説明の仕方を、あえてしてくれる時があります。
しかし、私のような素人は「過去の生き物や生息環境」が直ぐに想起できないため、その分かりやすい説明で、逆に理解が進まなくなる時があります。
 
本書は、そこの「今」と「昔」のギャップや混同を解消するように、まさしく『視点』の切り替えを丁寧にやってくれるので、非常に読みやすかったです。
 

オススメの章

 
1章「感情を読むテレパシーの力」色覚
 
が、一番面白かったですね。
 
特に、図9を読んだだけで面白味がすごかったです。
 
われわれ霊長類、特にヒトが色覚能力に特化しているのは、「『顔の色調』から、他者の状態はたまた心情を把握するためである」というのが本章の肝の部分になります。
その明確な傍証の1つに、「色覚をもつ種のサルは『顔面が毛でおおわれていなくて肌が露出している』」という事実があります。
図9は、複数の種のサルをイラストで紹介しているのですが、たしかに、チンパンジーやニホンザルなどの色覚を持つ動物たちは、顔面に毛がないんですよね。この図で、それが一目でわかります。
 
私は色覚って、「果実などの食物の分別」のために発達したと思っていたのですが、そうではないとガツンと一蹴されます。
 
「社会性の高い動物」は、「嘘偽りない他者の心情を『即時的に』把握する方法」が重要であり、そのために色覚の発達が有利だったということです。
 
 
この章だけでなく、本書はイラストが豊富で、そこも本書の分かりやすさを助長しています。
 
 

印象に残った場面・描写

 
2章「透視する力」両眼視
 
の、最初の部分ですね。
「自分がリスになって、チンパンジーに襲われているシーン」のところです。
実はここ、全然学術的な部分じゃなく、本編ではないのですが笑
 
ホントにこの著者さんは文章が上手いんですよね~。引き寄せられるというか、小説家みたいなんですよね。
 
リスになってしまった自分がチンパンジーの追跡から逃げていくシーンの「情景説明」「心情」ホントにリアルでハラハラするし、分かりやすい。
 
自分の研究分野を面白く明瞭に伝える文章能力は、優秀な研究者の必須スキルなんだな~と実感しました。
 
 
 

書籍の紹介文章

 
周りを見渡しながら散歩でもしてみよう。
色とりどりの風景を眺めつつ、信号の色が青になったのを確認して渡る。
スマホでSNSをチェックしながらも、近づいてくる車や自転車に注意を向け、ぶつからないように歩く。
 
われわれが無意識に行っている日常行動には、『目』から送られる視覚情報が欠かせない。
でも、みなさんお気づきだろうか?みなさんの持つ視覚能力が、いかに超人的な能力であるかということを。
 
状態を即座に把握し読み取る「テレパシー能力」は、視覚における色覚能力の宿す超能力だといえる。
物体に遮られているはずの空間を難なく知覚する「透視能力」、はたまた、周囲環境や物体がどのように動くのかを先読みする「未来予見能力」も、立派な超能力だ。
 
そして、あなたが今読んでいるこの羅列された文字群を難なくスラスラ読める『霊読する力』は、読字という超能力がなせる業といえる。
 
本書は、これらの視覚がもつ能力をなぜわれわれが有しているのかを、「今」と「昔」の視点から解説していく。
 
大事なことはアタリマエすぎて見えない、なんて言葉を耳にしますが、まさしくその通り。
われわれは、もっと『視点』を変えて『われわれを知っていくべきだ』
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