猫は棚が好き?|猫のストレスを軽減して、福祉を向上させましょう

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猫は、体の大きさや社会性の高さから、多頭飼育が可能な動物であるといえます。
一方で、完全な集団形成をする動物ではなく、明確な序列も存在していません。
 
多頭で猫を飼育している場合、猫の間での「ケンカ」は頻繁におこります。
 
この記事では、猫が隠れられるような「棚」を設置することで「猫のケンカ」が減るか否かを調べた、環境エンリッチメントに関する研究を紹介します。
 
 

■文献情報

〇題目

Effect of a shelf-furnished screen on space utilisation and social behaviour of indoor group-housed cats (Felis silvestris catus)
 

〇著者

Emma J. Desforges,Alexandra Moesta,Mark J. Farnworth
 

〇雑誌

Applied Animal Behaviour Science 178 (2016) 60–68
 
 

■研究概要 (序論~方法) 

〇背景

 
研究室で飼育されている猫の飼育環境は制限的であり、彼らの福祉に影響を及ぼすかもしれない。
環境エンリッチメントは彼らの福祉をより良くするかもしれないが、その効果に対する信頼性や評価はめったに行われない。
 

〇目的

 
この研究は、集団で飼育されている研究室の猫たちの「敵対的な行動」「親和的な行動」が、「家具 (棚)」の有り無しによって変化するかを調べること。
また、その棚によって出来た「上下空間」の利用の有無についても調査すること。
 

〇被験者情報

 
 
研究室で飼育されている29匹の猫
部屋は4か所あり、それぞれ8,7匹の猫たちが共同生活しており、それぞれの部屋を順々に実験していった。
 

〇評価方法

 
データ採取は「ビデオ」によって行われた。
「棚の空間利用」の割合は、8か所に設置されたビデオから10分ごとに写真が撮られ、そのデータが解析に用いられた。
「敵対的および親和的な行動」の頻度は、1日ごとに30分のエピソードを6回の合計3時間分のデータが、解析に用いられた。
 

〇実験・調査方法

 
 
実験は3つのフェーズに分けられた。
 
通常期間」2日
テスト期間」4日
再通常期間」2日
 
この「テスト期間」の間、猫の飼育部屋に「猫たちが初めてみる家具 (棚)」が設置された。
棚 (IKEA製) は縦横150㎝ずつ、奥行きが40㎝ほどの大きさ。
前面と後面に、猫が休めるような広さの空間が8か所ずつ (合計16か所) 用意された。
 
 

■研究概要 (結果~考察)

〇メインで得られた結果

 
 
全ての期間において、敵対的な行動の発生は、「朝ごはん後」と比較して「朝ごはん前」により多く発生していた。
ただ、「棚の有無」は関係がなかった。
 
また、「朝ごはん後」に発生する敵対的な行動は、「通常期間」よりも「テスト期間」の方が少なかった。
 
「棚」を部屋から無くした際 (つまり「再通常期間」の際)、「通常期間」と比較して、「昼ごはん前」の敵対行動が増加した。
これが生じた理由は、「フラストレーション効果」もしくは「リバウンド効果」であると考えられる。
 

〇面白い・特筆すべき結果

 
親和的行動の発生は、「棚の有り無し」と関係がなかった。
 
一方で、「テスト期間」においては、「地面に体をつけている割合」が少なく「棚の空間利用の割合」が多くなっていた。
 

〇筆者の意見・主張

 
棚を部屋に設置することでできた「垂直方向の空間」は、隠れる機会を猫に提供します。
これは、猫にとって必要な空間である考えられ、それによって敵対的な行動が減ったことが伺える。
 

■感想と転用

〇 エソグラムを使った行動解析

 
エソグラムとは、直訳すると「行動目録」と呼ばれるものです。
これは、「その動物がどのような行動を示した場合に、それを『○○行動』とみなす」といった、いわゆる定義づけのようなものです。
 
この研究では「親和行動」「敵対行動」の2種類を観察しましたが、猫がどんな行動をしたらカウントするのかは、このエソグラムを基にしたようです。
(例) 猫が前脚で他の猫を引っ叩いたら「敵対行動」・しっぽを絡めながら他の猫と横並びで移動すると「親和行動」)
 
面白いですよね~。こうやって行動を細分化して定義づけして評価に用いるんですね。
エソグラム自体は、他の研究論文 を参考にしているようですね。
 
行動的な解析をする際にはすごく参考になる資料です。
 
 

〇 ごはん前の熾烈な争い 笑

 
「朝ごはん前」は「朝ごはん後」よりも敵対行動が多い、というのが面白かったですね笑。
やはり、食料資源を確保するためには、争いは避けて通れないよう、、笑。
 
「朝ごはん前」に関しては棚を置こうが関係無いようでしたが、その他の場面 (昼ごはんなど) では棚は「敵対行動」を減らすのに役立っているようですね。
 
当研究室はまだまだ猫の数が少ないですし、個別の3段ゲージ内で餌をあげているため争いはありません。
ただ、今後ネコの数が増えていったときは、考慮すべきポイントかもしれません。
 
また、多頭飼いのご家庭の方々も、「猫の喧嘩が絶えない」ような場合には、猫専用の棚をふやすのはいかがでしょうか。
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