書籍の紹介

【おすすめ猫マンガ】猫もっちりlフルカラーで描かれる美猫の日常

猫マンガ、巷で溢れてますね。
どのマンガ読むか、悩んでますね?
 
「リアルで綺麗な猫を描いたマンガ」を読みたいなら、「猫もっちり」がおすすめです。
 
この記事では、猫と飼い主の女性の「ほのぼの日常」を描いた、黒娜さかきさんの「猫もっちり」を紹介します。
 
 
 

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書籍紹介「ヒトの目、驚異の進化」|私たちの目が持つ4つの超人的能力とは?

 

本の紹介

どんな本か?

 
今回手に取った本は、マーク・チャンギージーさんの「ヒトの目、驚異の進化 」でした。
 
 
この本は、我々がもつ2つの目、すなわち視覚の能力を分かりやすく解説した本です。
 
この本の最も特徴的な部分は、「我々はみな魔法のような超人的能力を持っているんだよ、そしてそれは視覚能力がもたらすものだよ」という切り口で語られる点です。
 
超人的能力?と聞くと始めは大げさに聞こえるかもしれませんが、本書を読み進めていけばそれが大げさではないことがわかります。
 
我々にとって、「視覚」はアタリマエすぎるのです。
朝から晩まで、我々は「視覚」がもたらした情報をもとに、というかそれに依存して日々の生活を送っています。
だからこそ気付かない (まさしく!) 視点から語られる『目』の能力は、われわれに恩恵を多大に与えているのだなぁと実感します。
 
 

読んだキッカケ・目的

 
私の兄がいわゆる読書家で、行動経済学・進化経済学・進化生物学などの多分野の本を読んでいて、その兄から「おもろいよ」といって譲り受けました。
 
読んでみると、確かにおもしろい!
 
序盤から興味をグッと引くようになっています。
というのも、本書の1章は「色覚」に焦点を当てているため、序文の前に色付きのイラストがまとまって記載されています。色彩豊かで好奇心を掻きたてる図の数々は、それを見るだけでワクワクします。
 
序文や解説 (石田英敬 先生) もすごく興味をそそる書き方で、読む前から既にワクワクさせられっぱなしでした。
 
「視覚」というものに焦点を当てた本は今まで読んだことなかったので、良い勉強になるかなとも思い、読んでみることにしました。
 

読むメリット (得られること・勉強になること)

 
 
  • 我々の『目』が持つ機能を、今まで意識したことのない切り口で意識できるようになる
  • ヒトとして、『目』を持って生まれてきたことを誇らしく感じられるようになる
 
 

読んでみた感想

とにかく読みやすい

 
著者のマーク・チャンギージーさんは、TEDで講演したりYoutubeでチャンネルを作ったり、はたまた作家として執筆されるなど、幅広く活動されている方のようです。
「人に伝える」という点を分かっている方だな~と思いました。
 
まず本書は『構成』が明瞭です。
 
本書は人の持つ視覚能力を4つに絞って解説しており、
 
1章「感情を読むテレパシーの力」色覚
2章「透視する力」両眼視
3章「未来を予見する力」錯覚現象
4章「霊読する力」読字能力
 
となっており、章タイトルも分かりやすく、”どの章から読もうかな~”と商品を選ぶような感覚さえ覚えます。
目次が分かりやすい本だと、”いま読んでるこの文章って、何について話しているんだったっけ、、”と、迷子になることがありません。
 
 
また、説明部分を「比喩や例え話」で伝えたり、「著者の子どもたちの日常的な出来事」から発展させて話を進めたりと、読者が理解しやすくなるような工夫を凝らしてくれています。
 
 

「今」と「昔」の切り替えの難しさと、その丁寧さ

 
私のような進化生物学に造詣が浅い人は、読んでいる時にすぐに混乱する場面に出会います。
それは「その能力が進化の過程でどう有利だったの?」という点です。
 
2章の「透視する力」では、左右の目が前向きについているのは「視界の悪い環境でも奥にある物体を視認できるために有利だ」と主張する場面があります。
それを説明するために、「柵越しに奥の環境を覗くと、、」という解説場面が出てきます。
 
ただ、柵は現代に出来た物体であり、「我々の祖先の時代には柵なんてものは存在しないではないか」と感じます。
この時、著者はすぐさま視点を「昔」に切り替えます。
 
『昔』は柵なんてものはないものの、「もっと草花が生い茂る森林で暮らして」いました。それゆえに、「むしろ現代とは比較にならないほど先の見通しが悪い環境」であったことが伺え、だからこそ「この透視能力が進化上有利だったのだ」と主張しています。
 
過去にタイムスリップすることが出来ないゆえに、進化に関わる研究は「現代の生き物や生息環境」で傍証を積み上げていくしかありません。さらに、著者のように、分かりやすく説明するために「現代」に寄り添った説明の仕方を、あえてしてくれる時があります。
しかし、私のような素人は「過去の生き物や生息環境」が直ぐに想起できないため、その分かりやすい説明で、逆に理解が進まなくなる時があります。
 
本書は、そこの「今」と「昔」のギャップや混同を解消するように、まさしく『視点』の切り替えを丁寧にやってくれるので、非常に読みやすかったです。
 

オススメの章

 
1章「感情を読むテレパシーの力」色覚
 
が、一番面白かったですね。
 
特に、図9を読んだだけで面白味がすごかったです。
 
われわれ霊長類、特にヒトが色覚能力に特化しているのは、「『顔の色調』から、他者の状態はたまた心情を把握するためである」というのが本章の肝の部分になります。
その明確な傍証の1つに、「色覚をもつ種のサルは『顔面が毛でおおわれていなくて肌が露出している』」という事実があります。
図9は、複数の種のサルをイラストで紹介しているのですが、たしかに、チンパンジーやニホンザルなどの色覚を持つ動物たちは、顔面に毛がないんですよね。この図で、それが一目でわかります。
 
私は色覚って、「果実などの食物の分別」のために発達したと思っていたのですが、そうではないとガツンと一蹴されます。
 
「社会性の高い動物」は、「嘘偽りない他者の心情を『即時的に』把握する方法」が重要であり、そのために色覚の発達が有利だったということです。
 
 
この章だけでなく、本書はイラストが豊富で、そこも本書の分かりやすさを助長しています。
 
 

印象に残った場面・描写

 
2章「透視する力」両眼視
 
の、最初の部分ですね。
「自分がリスになって、チンパンジーに襲われているシーン」のところです。
実はここ、全然学術的な部分じゃなく、本編ではないのですが笑
 
ホントにこの著者さんは文章が上手いんですよね~。引き寄せられるというか、小説家みたいなんですよね。
 
リスになってしまった自分がチンパンジーの追跡から逃げていくシーンの「情景説明」「心情」ホントにリアルでハラハラするし、分かりやすい。
 
自分の研究分野を面白く明瞭に伝える文章能力は、優秀な研究者の必須スキルなんだな~と実感しました。
 
 
 

書籍の紹介文章

 
周りを見渡しながら散歩でもしてみよう。
色とりどりの風景を眺めつつ、信号の色が青になったのを確認して渡る。
スマホでSNSをチェックしながらも、近づいてくる車や自転車に注意を向け、ぶつからないように歩く。
 
われわれが無意識に行っている日常行動には、『目』から送られる視覚情報が欠かせない。
でも、みなさんお気づきだろうか?みなさんの持つ視覚能力が、いかに超人的な能力であるかということを。
 
状態を即座に把握し読み取る「テレパシー能力」は、視覚における色覚能力の宿す超能力だといえる。
物体に遮られているはずの空間を難なく知覚する「透視能力」、はたまた、周囲環境や物体がどのように動くのかを先読みする「未来予見能力」も、立派な超能力だ。
 
そして、あなたが今読んでいるこの羅列された文字群を難なくスラスラ読める『霊読する力』は、読字という超能力がなせる業といえる。
 
本書は、これらの視覚がもつ能力をなぜわれわれが有しているのかを、「今」と「昔」の視点から解説していく。
 
大事なことはアタリマエすぎて見えない、なんて言葉を耳にしますが、まさしくその通り。
われわれは、もっと『視点』を変えて『われわれを知っていくべきだ』

読書感想文 ※ネタバレなし|龍神の雨 道尾秀介|家族の再定義

本の紹介

著者と書籍の情報

 
今回手に取った本は、道尾秀介さんの「龍神の雨」でした。
 
 
 
 
道尾秀介さんの作品はいくつか読んだことがありました。
なかでも「向日葵の咲かない夏」は、私が今まで読んだ小説の中でもトップに面白かったです。
伏線の張り方がエグくて、何度も読み返してゾクゾクしたのを覚えています。
 
 
今回の作品も、ワクワクしながら読みました。
 
 

内容

 
本書では、2つの家族が登場します。
 
「実母が事故でなくなり、実父が病気で亡くなり、継母と暮らす兄弟」の小学生の圭介、中学生の辰也
「実母が事故でなくなり、実父とは疎遠になって、継父と暮らす兄妹」の中学生、その兄の
 
この2つの異色な家族に焦点を当てて、物語は進んでいきます。
 
思春期真っ只中の彼らは、継父母との関係が良好ではありません。
4名とも、心におおきなしこりを抱えつつ、それでも日々は平凡に過ぎていきます。
 
これから家族はどうなっていくのだろう、、
そんなことを思っていた矢先、家族の住む地域に大規模な台風が発生します。
龍が引き起こしたような荒れ狂う台風の日、事件は起きます。
 
そしてその事件をキッカケに、接点のなかったこの2つの家族が繋がり、物語は意外な方向に進んでいきます。
 
彼らの運命いかに、、
 
 

全体の感想

 
面白かったです!
 
本書は、2つの家族の視点が交互に入ってきます。
継母の家族では弟の圭介、継父の家族では兄の蓮、彼らの視点で進んでいきます。
 
ただ、物語の終盤では、もう片方の兄妹たちの視点も描かれ、そこから物語がクルっと変わってきます。
あの瞬間はやっぱりミステリ小説の醍醐味と言いますか、とってもワクワクする瞬間です。
ぱらぱらページを戻しながら、”おー、たしかに” とか ”あ、そゆことか” と腑に落ちていく瞬間がいいですよね。
 
 
本書のテーマはずばり『家族』です。
 
家族といっても、しょせんは赤の他人です。心のうちを真に理解することはありえない。
考えていることを理解するには、他の人間と同じく、言語や非言語の情報を頼りに『推測する』しかありません。
じゃあ、家族とその他の人間を分かつものって何でしょう。
 
人によってはそれを『血縁関係』や『過ごした時間』と置くかもしれません。
どれが正解とかはありませんが、社会上では『戸籍上の血縁関係』が上位に来ます。
そして、社会で普通に生きていると、感覚がマヒしてそれが自然なように感じてしまうようになります。
 
 
本書の終盤では、こんな言葉が出てきます。
 
家族のことだけは、どんなことがあっても信じなきゃいけない。
たとえ血が繋がっていても、いなくても。家族なら、信じなきゃいけない。
 
 
そう、家族の定義は『信頼』です。
というか、信頼するしかないんです。それしか、家族とその他を分かつものはないんです。
 
本書はそんな、家族の定義やあり方を考えさせる一冊でした。
 
 
そして、逆に言えば、「信じてさえいればそれはもう家族」なんです。
 
 
そう、信じてさえいれば、
 
 
 
 

グッと来たところ

場面・描写

 
この本では、感情の描写が面白いなと思いました。
 
 
たとえば「怒り」の描写では、
 
生まれて初めてみるような、グロテスクな怒りの表情が張り付いていた
p73
 
もう一度呼びかけた瞬間、その部屋中の粒子が一斉に尖った。見えないからこそ、圭介はぎくりとした。
p121
 
すぐそこにある辰也の顔は、よくかれたガラスの向こうにあるように、変にはっきりと見え、しかしどこか現実感がなかった。
p154
 
 
 
 
不安の描写では、こんな感じ
 
窓の隙間から漏れ入った水が、床をだんだん濡らしていくように、不安はゆっくりと圭介の胸に広がっていった。
p168
 
ドライアイスから溶け出る霧のように、胸に曖昧な不安が広がっていった。
p195
 
 
 
また、自己憐憫 (悲劇のヒロイン) のような複雑な感情を、こう描写したりもしています。
 
自分のことを可哀相だと思う瞬間の、この甘いような、鼻の奥がちりちりするような感覚
p93~94
 
 
 
感情という抽象的な概念を具体化して言語化する能力は、学ぶべきところが沢山ありますね。
 
 

琴線に触れた表現

 
このような家族構成を見ると、とかく子供たちを憂慮しがちです。
 
しかしながら、親たちだってさぞ大変でしょう。
ここまで特殊なご家庭が日本にどれだけ存在するか分かりませんが、自分がその立場にたったとしたらやっぱり辛いですね。
 
そういった意味で、物語中盤の「継母の里江さん」と「圭介」のやり取りは、やはり印象的でした。
 
見ていてとてもつらい描写ですが、私個人としてはあのやり取りこそが「家族とは何か」を突きつけられるシーンだと感じます。
 
 
 

書籍の紹介文章

 
家族とは何だろうか。
戸籍上の血縁関係だけが、その証明になるのだろうか。
 
両親を亡くして継母と暮らす圭介と辰也。
同じく、継父と暮らしている楓と蓮。
彼らは、新しい家族の形に戸惑いを抱きつつも、かわらない日々を過ごしていた。
しかし、それも限界を迎える。
 
龍が荒れ狂うような台風が襲ったある日、蓮は継父の殺害計画を立てた。
その計画は思わぬ展開を見せ、物語は予想外の方向へと向かっていく。
 
そして、辰也は圭介に言う。
『母さん、龍になったんだぞ』
『誰かを恨みながら水の中で死ぬと、龍になるんだ』
 
両親を失った彼らだからこそ導ける、家族の再定義。

読書感想文 ※ネタバレなし|伊藤計劃『屍者の帝国』|わずか21gの魂

本の紹介

著者と書籍の情報

今回よんだ本は、伊藤計劃の「屍者の帝国」でした。

屍者の帝国 (河出文庫) (日本語) 文庫 – 2014/11/6

この本は、夭折した作家の伊藤計劃さんが、生前に残した数十枚の原稿を、円城塔さんが執筆を引き継ぐ形で作られた作品です。

兄に勧められて伊藤計劃シリーズを読み始めたのが大学生時代。

『虐殺器官』と『ハーモニー』は、非常に面白かった記憶があります。

この『屍者の帝国』もその時から知っていたのですが、何となく読むタイミングがなく、未読のままでした。

ようやく読めました。

内容

死体に疑似霊素をインストールすることで『屍者』を作り出す、という技術が発展した世界を描いた作品です。

この屍者は、人と同じ外貌を持つ一方で、明らかに人とは異なる動きをします。
できる行動の範囲も限られており、プログラムされたことを忠実にこなす、いわばロボットのような存在です。

この屍者の存在をめぐる、人とは何か、意識とは魂とは何かを問いかける、といったテーマのSF作品です。

全体の感想

前作である『虐殺器官』と『ハーモニー』と比べて、読みづらいなぁと感じてしまいました笑

マジなSFってこんな感じなんでしょうか?笑
SFは全くの素人である私にとって、読み進めるのが結構キツイものでした、、。

また、この作品は「シャーロックホームズ」「カラマーゾフの兄弟」「ダーウィンの進化論」「近代の日本史」「近代の世界史」など、幅広いテーマと絡めながら進んでいく物語でした。

もちろん、がっちりその知識がないと読めないかっていうとそうではないけど (私はダーウィンくらいしか知らないし)、知識があるとより理解が進むし、何より読んでて楽しいんだろうな~と思いました笑

「自分の知識とのコネクト」を感じると、すごく面白さが増すという現象があるので、私はその点が不利でしたね、、。教養の低さが出ました。

ただ、逆に今興味がわいてきたので、上記のコンテンツに手を出してみようかな~と思います。
….いつか。

グッと来たところ

場面・描写

やっぱり最後のシーンでした。フライデーのとこ、、、、。

あんまりいうとネタバレになるので言えませんが、最後の描写は、綴り方が素敵でした。

琴線に触れた表現

この本は、小難しい漢字を多用していました。
読み方や意味の分からない単語をこんなに調べながら読んだの、すごい久しぶりです笑

また、私がいいなぁと思った文章表現もたくさんあったので、一部抜粋してみました

P298
「そう、わからないからだ。過程がわからなければ、結果に頼るしかなくなる。これは理屈の問題じゃない。人間の理解の仕方の問題なんだ。人間は物事を物語として理解する。暗号が具体的にどんな強引な方法で解かれたかは問題じゃない。誰が解いたことにした方が面白いか、書かれているとされる内容がいかに刺激的かが重要なんだ」

人間の心理をうまく表現していて、なるほどと感じました。

 

P306
自由とは選択のないことだ

月並みだけど、その通り。

 

P359
「あんたは、生命とはなんだと思う」笑い飛ばされるかと思ったが、振り返ったバーナビーは不思議そうな顔で淡々と告げた。「性交渉によって感染する致死性の病」

この表現、一番グッときました!

よくよく思い出してみると、私、Twitterか何かで以前この文章を見たことがあって、記憶の片隅にあったんですよね。
それのせいか、一番印象に残るフレーズでした。

言葉の定義を、すごい視点から再定義する感じ、好きなんですよね。
この場面で言えば、『生命』という単語を、『病』に置き換えている感じ、めっちゃいい。クール。

 

P389
「筋道や枠組みをどうとっても構わないなら、理屈はどうにでもつく。おとぎ話だ。-そこまで知っていたならどうして先に言わない」「お前さんの言った通りだ。筋道なんて事実が追い付いてからようやくもっともらしく思えるもんだ。筋道が意外な物であればあるほどな。」

事実が明らかになるまでは、その過程は非論理的に感じる。過程が奇妙であればあるほどに、ねー。なるほど。

 

P403
もう一人彼女を造り出そうというのではない。彼女という個体は失われ、二度と決して戻らない。彼女に似たものを作り出せたとしてもそれは最早彼女ではない。おそらくは彼女と全く同じ物質的構成を持った存在でさえ、彼女ではありえないだろうと思う。ことは魂の問題であり、物質の問題ではないとわたしは思う。

星の王子様的な感じ。

『いちばんたいせつなことは、目に見えない』
星の王子さま (新潮文庫) (日本語) 文庫 – 2006/3/28
サン=テグジュペリ

 

P450
「辞書がそれ自体で意味を持つかね。ただの循環があるだけだ。ある言葉が他の言葉を定義し、その言葉は別の言葉に定義されている。辞書という世界の中では、本質から切り離された循環が永遠に空疎に回り続ける。人間が魂と呼ぶのはその循環の中の流れ、存在の大いなる循環だ。起源は原理的に存在しない。鶏が卵を産む。卵が鶏を生む。原初の卵は存在したことがなく、宇宙の開闢を告げた鶏はいない。過去へと旅した男が、自分の祖先と子を設ける。始原はどこだね。それは人間の思考を超えた世界にあり、その通路は鎖されている」

「卵が先か鶏が先か」問題を、「辞書」で表現している感じがすごく秀逸に感じました。

言葉が空疎に循環する、ってすごく面白い表現。

 

書籍の紹介文章

幼少期、よく死を想像し、恐怖し、眠れなくなったことがある。
人は、死んだらどこにいくのだろう。
私の意識は、魂は、どこにいくのだろう。

本書では、死者を屍者としてよみがえらせる技術『屍者化』が発展した世界が描かれる。
死者とは一線を画し、けれども決して生者ではない。
語らない。自律しない。そんな存在が屍者。

死者と生者を決定的に分かつ違いは、僅か21gの魂。
この魂が欠落した死者に疑似霊素を組み込むことで、屍者は生まれる。

そんな世界である日、生者に限りなく近い屍者の存在が確認される。

彼らは屍者?生者?
そもそも、屍者と生者を分かつものは何なのだろうか。
自分の周囲の人間が『屍者でない』とどうやったら証明できる。自分が『屍者でない』とどうやったら認識できる。
生者を生者たらしめる魂は、意識は、どこにある。どんな構成物質により在る。

人間の魂とは何か、その真実に迫る一冊。