猫の認知と行動

【女性に飼われている猫は寂しがり屋?】ツンツンしてる猫が示す「1人にしないでよ」のサイン

猫の飼い主さんは、「猫は気まぐれで独立性が高いから、1人でいる時間が長くても大丈夫~」と思っているかもしれません。
 
もしかしたらその考え、間違っているかもしれません。
 
この記事では、「『分離関連行動』と呼ばれる問題行動を持つ猫の割合を調べた」研究を紹介します。

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猫は飼い主の「感情」を理解している?!|クロスモーダル認知を用いた研究

猫を飼っている人の中には、「ウチの猫は私が悲しんでるのを理解してるのよ~」と思っている人もいるでしょう。
それ、もしかしたら本当かもしれません。
 
この記事では、猫は「他の猫、そして人の感情を『視覚的』『聴覚的』に認識する能力がある」ということを明らかにした研究を紹介します。

 

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猫のYouTube動画は研究データになりえる?|新しい研究のカタチ

猫好きの皆さんは、今日もYouTubeで猫の動画をみているのではないでしょうか?
 
昨今のSNSの普及は、一般の人も気軽に動画を投稿することを可能にし、それを誰でも閲覧することを可能にしました。
われわれ猫好きにとって、たくさんの猫動画を自由に見れる現代は、幸せの極みかと思います。
 
そんな「猫動画」が、研究の重要なデータになり得る、と聞いたら驚くでしょうか?
 
この記事では、猫のYoutube動画を研究活動に活用することができる可能性を検証した論文を紹介します。
 
 
 

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ねこには好きな音楽がある!?|音楽を聞かせることで猫のストレスが軽減したという研究

■文献情報

〇題目

Effects of music on behavior and physiological stress response of domestic cats in a veterinary clinic.
 

〇著者

Hampton, A., Ford, A., Cox, R. E., Liu, C., & Koh, R.
 

〇雑誌

Journal of Feline Medicine and Surgery, (2020). 22(2), 122–128. https://doi.org/10.1177/1098612X19828131
 
 

■研究概要 (序論~方法) 

〇背景

 
音楽は、ヒト医療において、ストレスの低減といった利益をもたらすことが知られている。
犬やタマリンなどの動物に音楽を聞かせることで、彼らのストレスが緩和することも明らかになっている。
 
さらに、Snowdon と Teie は2015年に、「猫は家庭内において『猫の音声・好きなテンポ・通常発声周波数などを基に作成された猫向けの音楽』を好む」と結論付けた。
Snowdon CT, Teie D and Savage M. Cats prefer species-appropriate music. Appl Anim Behav Sci 2015; 166: 106–111.
 
しかしながら、医療現場において、この猫向けの音楽が効果を発揮するかは調べられていない
 

〇目的

 
猫向けの音楽を聞かせることで、動物病院で診察中の猫のストレスが軽減するかどうかを検証すること
 

〇被験者情報

 
1歳から10歳の猫25
 

〇実験・調査方法

 
診療中、および診療前後の猫のストレス状態を、以下の3つの条件で比較。
 
「無音 条件」
「クラシック音楽を聞かせた 条件」
「猫向けの音楽を聞かせた 条件」
 
猫向けの音楽は、上述のTeieによって作成された「Scooter Bere’s Aria」という音楽が用いられた。
 
YouTubeでも音源が聞けるので、どうぞ。
独特な感じの音楽です。
 
 

〇ストレス評価方法

 
ストレスの評価方法は主に3つ
 
キャットストレススコア cat stress scores (CSSs)
→ 猫の体の状態 (耳・ヒゲ・瞳孔・四肢の状態などなど) といった、行動学的な面のストレス度合いを評価する
 
ハンドリングスケールスコア handling scale scores (HSs)
→ 診療中の猫の、ハンドラー (獣医師など) に対する反応といった、行動学的な面のストレス度合いを評価する
 
好中球 リンパ球 比 neutrophil:lymphocyte ratios (NLRs)
→ 体内の炎症度合いの指標であり、生理学的な面のストレス度合いを評価する
 
上記の指標はどれも、数値が低いほど、ストレスが低いと考えられる。
 

■研究概要 (結果~考察)

〇メインで得られた結果

 
「猫向けの音楽を聞かせた 条件」の時、診療中および診療後の猫のCSSが減少した。
 
また、診療中のHSsも、「猫向けの音楽を聞かせた 条件」でのみ減少した。
 

〇面白い・特筆すべき結果

 
NLRsは、条件間で違いは見られなかった。
 

〇筆者の意見・主張

 
生理学的なストレス数値に変動は見られないものの、行動学的なストレスの低下は見られた。
したがって、猫向けの音楽は、動物病院での診療時の猫のストレスを軽減し、治療の質を高めることに繋がると考えられる。
 
 

■感想と転用

〇 動物病院の話から一般家庭に転用するには?

 
この研究はあくまで「病院での診察時」という条件です。もともと、獣医療の猫のストレス問題を軽減することが目的なので当然ですね。
一方で、じゃあこの研究の結果を私たちが応用するとしたら、どうすればいいでしょう?
 
猫がストレスを受けるであろう状況下で、「猫向けの音楽」を聞かせることで、日々の猫ちゃんのストレスを少しでも和らげることが出来るかもしれません。
例えば、「家に見知らぬ人が入ってくる」際におびえる様子を見せる猫ちゃんであれば、猫ちゃんの隠れた場所に向けて音楽を流しておけば、ストレスは和らぐかもしれません。
 

〇 何で和らぐのか?

 
考察の部分でも、ハッキリとメカニズムは示されていないっぽいです。 (別にメカニズムを探る研究ではないですしね) 
ただ、序論の一部分では、「猫向けの音楽は、『猫の情動中枢が発達する、出産直後の授乳期で発せられる、猫固有のゴロゴロ音のような音声』に基づいて作成されている」みたいに書かれています。
「マックシェイクのストローの幅は、お母さんからお乳をもらう時の触感に合わせている」なんていう話を聞いたとこありますが、それと同じような原理ですかね。
安心安全の源は母であり、授乳期のコンディションを模したものが人を安定へと導くのでしょうかね~。
 
 
この猫向けの音楽を作った人の原論文も、今度レビューしたいと思います。

猫は飼い主に嫉妬する!?|猫 ❝私に似ている人形を撫でないで~❞?

■文献情報

〇題目

Domestic cats’ reactions to their owner and an unknown individual petting a potential rival

〇著者

Benoit Bucher, Minori Arahori, Hitomi Chijiiwa, Saho Takagi, and Kazuo Fujita

〇雑誌

Pet Behaviour Science 2020, Vol. 9, 16 – 33
doi:10.21071/pbs.vi9.12176
 
 

■研究概要 (序論~方法) 

〇背景

 
人間には一次感情二次感情があり、その二次感情の1つとして『嫉妬』がある。
嫉妬は、「関係性の維持や保守」に関わる重要な感情。
 
この嫉妬という感情は、成人だけでなく、幼児、はたまた犬にも存在することが研究から分かっている。
 

〇目的

 
猫にも『嫉妬』という感情が存在するのかを確かめる研究
 

〇被験者情報

 
自宅で飼われている、もしくは猫カフェで飼われている猫52
 

〇実験・調査方法

 
「猫に似ているリアルな人形」
「毛皮のクッション」
上記2つの物体を猫が撫でている時、猫はそれを見てどのように反応するのかビデオで観察した。
 
また、比較のために、「猫の飼い主」と「猫の見知らぬ人」の2者が物体を撫でている場面を猫に見せ、その反応を観察した。
 
 

■研究概要 (結果~考察)

〇メインで得られた結果

 
特に飼い猫は、見知らぬ人が撫でている場面と比べて、飼い主が「猫に似ているリアルな人形」を撫でた時により大きな反応 (その人形を見つめる時間) を見せた。
 

〇面白い・特筆すべき結果

 
しかし、猫が「飼い主」もしくは「猫の見知らぬ人」に対して示す行動 (物体ではなく人の方を見る『触らないで~』って感じで撫でるのを妨害するなど) には違いが出なかった。
つまり、嫉妬という感情が猫に存在するという確かな証拠は見られなかった。
 

〇筆者の意見・主張

 
猫が嫉妬の感情を示す可能性は見られた。
一方で、猫の生態により合致した、信頼性の高い実験方法が必要である。
 
また、猫の飼い主に対する愛着度合いなども、『嫉妬』の行動への表出に関係してくるのかもしれない。
 
 

■感想と転用

〇 実験めちゃむず

 
行動心理学的な実験は、実験条件の設定がホントに難しく、大変だな~といつも思います。
行動制御の難しい猫を対象にしていることで、輪をかけて難易度を上げていると思います。
 

〇 嫉妬ってありそうよね

 
多頭の猫を飼育している方は、嫉妬に類似した行動を見かけることがあるといいます。猫漫画や知り合いのエピソードトークでは、「撫でる順序を間違えるとスネるのよね~」みたいなことを聞きます。
 
けっこうマジな感じの書籍でも、「新入り猫をかまうまえに、先住猫を先にかまってあげましょう~」みたいな文面を見たことあるきがします。
 
私自身の実体験はないのですが、猫も嫉妬心をむき出しにする瞬間がありそうだなとは思います。
主観は強いですが、アンケート調査などを行えば、あぶりだすことも出来そうですね。