後輩指導

輪読会とは?英語論文を読むときのポイントは「構造意識」と「効率化」

英語になれてない人、また、学術論文になれてない人、そしてその両方の人。英語論文を読むのが非常に苦痛でしょう。

私もそうでした。

ただ、長く大学院生を過ごす中で、徐々に「効率的な読み方」を理解してきました。

この記事では、「英語論文を効率的に読解する方法」について解説します。


1. 英語論文読解をする前の心得

「無駄な労力」は「必要な労力」か?

前々回の記事で説明したとおり、物事にはなんかしらの意義や目的を据えることが重要だと言いました。あなたが輪読会に臨む意義や目的は何でしょうか?

たとえ、あなたの輪読会の意義が何であったとしても、文献を読み込む時は「知識ゼロの状態からスタートする」必要はありません。

 
前回の記事にて、文献検索には「縦および横の方向性」があると伝えました。この横方向の検索の種類によっては、自然と「その論文の概要」を事前に日本語で知ることができると思います。
 
昔の私は、なんかそれが罪悪感というか、ズルをしているように感じていました。この感覚は、おそらく日本人であるほど強く感じるのかもしれません。しかし、全くズルではありません。なぜなら、輪読会の目的や意義は「苦労を経験すること」では決してなく、それ以外であるからです。
 
それに、自力で読んで結局理解できず、不十分な発表をするほうがよっぽど地獄です。発表する本人の準備期間はもちろんですが、その発表を聞く他の19人の数分を無駄にすることになるからです。その罪は重いです。
 
そうなるくらいならば、日本語の論文解説サイトの内容を丸パクリして発表してくれたほうがまだマシです。
 
※私はそう思う、という意見です。他の先生は逆の意見 (不十分な発表でいいから自力のみでやれ) かも分かりませんが。。
 
ぜひ、積極的に楽をしてください。
 
 
ただ残念ながら、英語論文の文章を1字1句すべて訳してくれてる情報源は無いと思います。そして、いくら「事前知識」を蓄えられたとしても、輪読会で論文内容を発表するためには「補足情報」を英文から読み取る必要がどうしても生じると思います。
 
さらに言えば、英語論文を自力で読む力が無いと「卒業論文作成」をより質の高いものにできません。なぜなら、「研究計画」を立てるときにも、「考察」を立てるときにも、「過去の学術論文」を参照にして思考することが基本になるからです。そして、ユーザー1億人の「日本語」よりもユーザー15億人の「英語」で書かれた論文の方が、欲しい情報を手に入れる確率が高いのは一目瞭然です。だからこそ、今のうちに少しでも「英語論文」を読み解く力を身に着けてほしいです。
 
そもそも、自分の読みたい文献の「日本語での解説」を手に入れられないことも往々にしてありますしね、、。 (学術雑誌から見つけたり、Google scholarで自分で見つけたりした場合などです)。
 

そこでこれから、「より効率的に文献を読み解く」ためのコツをご紹介します。

「英語論文」は本当に難解な文章か?

英語論文の中に、理解出来ない文章があったとしましょう。文意が読み取れない理由には、以下のものがあります。

    1. 基本的な英語能力の欠如
      • 基本単語がわからない
      • 基本文法がわからない
    2. 専門分野の知識の欠如
      • 専門用語がわからない
      • 論文の基本構造や型がわからない

1の場合、正直、しょうがないです。辞書や参考書などを用いて、勉強するしかありません。ただ、一つ言えるのは、「学術論文を読み解くのにそんな高度な文法知識なんて要らない」ということです。

もちろん、私は「学部生~修士」の間で、基礎的な英語の勉強をし直しました。そのおかげで読解能力が上がったのは確かです。だから、みなさんも時間があれば学びなおすべきだと思います。・・・が、べつに今、「仮定法」や「関係代名詞」のセンター入試問題を解けるかと言われれば無理です。TOEICもぜんぜん解けないと思います。

けれども、「人と動物の関係学」という分野の学術論文なら、10分で概要をほぼ理解できる自信はあります (・・・たぶんね。・・・概要だけね。)。これは、「俺すごいだろエッヘン!」と言いたいわけでは決してありません。「学術論文」とはそういうものだということです。

つまり、「学術論文」には決まりきった「構造や型」があり、それに伴った「読み方のコツ」があるということです。それがすなわち、文意が読み取れない理由の2になります。

では、以降は、この「構造や型」の説明をしつつ、英語論文の読み解きのコツをお伝えしていきます。

2. 英語論文読解に必要な考え方

「アブストラクト理解」のための「本文理解」という意識

まず説きたいのが、「論文を全文理解して発表する必要は微塵もない」ということです。そして一方で、「アブストラクトだけは全文理解しようとする姿勢」が何より重要です。

論文には「Abstract アブストラクト」、いわゆる「要旨」が存在します。このアブストラクトは、(ほとんどの論文共通で) 「序論」→「材料と方法」→「結果」→「考察」の順で文章が綴られています。まずここを理解しておいてください。「学術論文」における、重要な構造の一つです。

そしてアブストラクトは、論文の内容をギュッと数行にまとめているものです。つまり、アブストラクトに書いてある内容は「筆者が一番伝えたいことの凝縮体」になっています。

 

だからこそ、このアブストラクト部分だけは「1語1句」抜かりなく理解しておかなければなりません。なぜなら、「著者の最も伝えたい部分」を読み取って発表することこそが輪読会だからです。

で、オススメの英語論文読解手順は、以下の通りです。

    1. 「アブストラクトの内容を完璧に理解しようと読みこむ」
    2. 「文意が読み取れない文章に出会う」
    3. 「『文意を読み取るため』に本文を部分的に読み解く」

この流れで読み解こうとすると、「効率性・能動性」がぐっと上がります。なぜかというと、「答え探し」や「取り扱い説明書の確認」みたいな感覚を持てるようになるからです。

「読む」「理解する」のではなく「探す」「掴む」感覚

要旨に書かれた内容だけでは輪読会はこなせません。なぜなら、「情報量がすくない」からです。

それぞれの論文にもよりますが、「研究の背景」「詳しい実験・調査の手順」「考察の丁寧な論理説明」などがアブストラクトでは欠けています。感覚的には、序論や考察など「論理的な説明部分」が特に省かれていると思います。なぜなら、丁寧な論理構造で説明しようとすると、豊富な文章量や「過去の文献」が必要になるからです。

では、それなのになぜ「アブストをまず理解する」というやり方を推奨するかというと、「研究の肝」の部分をまず少ない情報量で理解したほうが理解しやすいからです。

論文は情報量の多い文章群です。ゆえに、「著者の最も伝えたい部分」を本文全体から探し出して理解するのは少し骨が折れます。特に、論文にまだあまり触れていない段階では、特に困難です。だからこそ、まず「アブストラクトを完璧に理解」しようと苦心し、それ以外の必要な情報を「本文から探し出す」という手順を取ったほうが、論文は読解しやすいのです。

「アブストラクト以外の必要な情報」というのは言い換えれば、「アブストラクトを理解しようとした時に『障害となる部分』」といえます。さらに言い換えると、『アブストラクトを理解しようとする時に必要な情報・理解しおかなければダメな点・浮かんでくる疑問点』などなど、挙げれば切りはありません。が、できる限りたくさんあげてください。言語化してみてください。そして、その疑問を「本文」から探し出すように『部分的に絞って』本文を読み込んでください。

 

 
また、『部分的に絞る』ためにもう一つ重要なのが、その「理解できない文章」が「アブストラクトのどの位置にあるか」の見極めです。

例えば、アブストラクトの初めの方に書かれた文章であれば、本文の「Introduction序論」に書いてあるはずです。一方で、アブストラクトの終わりの方に書かれている文章であれば、「Discussion考察」に書かれているはずです。アブストラクトの多くは「本文の順序」に沿って構成されています。本文における読むべき部分に、「当たり」を付けて読んでみましょう。

このように、文章構造を意識しながら「まずアブストラクトを理解」し、つまむように「本文を部分的に読む」のが理想です。決して「本文全体をまずすべて訳す」ようなことはやめましょう。輪読会には時間制限もありますし、論文全てをくまなく説明するのはそもそも不可能です。

では続いて、本文の内容を理解するときに参考になる「英語論文の構造特徴」を2つほどお教えします。

英語論文の構造特徴①「トピックとサポート」

長大で複雑な論文の中で、「序論」と「考察」は特に読み解くのが難しい部分と言えます。その理由の一つとして挙げられるのが、節などで文章が区切られていないという点です。(区切られているものもありますが)

一方で、「材料と方法」や「結果」は、節によって文章が区切られています。そしてその節ごとにタイトルが付いています。つまり、「そのタイトルに関係することが書かれているんだなぁ〜」と当たりをつけることができるため、文章の理解が大きく捗ります。

では、このような節がない「序論」や「考察」を理解するためにどうするかというと、「段落」一つ一つに「タイトル」があるように意識する(捉える)ように読むことをおすすめします。

英語の論文は、各段落ごとに「その段落で伝えたい1つのメッセージ」があります。それを明確に示した文章を、トピックセンテンスと言ったりします。このトピックセンテンスを探りながら読むことを意識すると、「『この段落』で著者が言いたいこと」が見えてきます。

 
読みやすい文章では、そのトピックセンテンスが「各段落の頭」にあります。ただ、場合によっては「段落の真ん中やお尻」にあったりと、すこし不親切な位置にあったりします。ここは論文ごとに異なるでしょう。ただ、共通して言えるのは、「この段落で伝えたいこと(主となっているテーマ)はなんだろう?」と意識しながら読むことが大切だということです。コレを意識するだけで、理解はかなり深まるはずです。

そしてもう一つ大切なのが、その文章が「著者の意見」なのか「他者が証明・提言した事実か」なのかを見極めることです。

英語論文の構造特徴②「意見と事実」

木下是雄さんの有名な著書『理科系の作文技術』でも解説されていますが、学術の文章は「意見と事実が切り分けられていること」が超重要です。「客観 (事実)」と「主観(意見)」、のように抽象的に捉え直してもよいです。

なぜ意見と事実の切り分けが大事かというと、学術論文は「過去の文献に基づいてより発展した研究を行う」というのが本質であるがゆえ、「大量の過去の文献 (事実) 」で埋め尽くされており、「自分の考えや主張 (意見) とごちゃまぜになってしまう」ことがあるからです。そのため、文章を読解しているときは、常に「この文章はなんらかの事実?それとも著者の意見?」と意識しながら読み進めましょう。

実は、見極めは比較的カンタンです。文章の終わりに参考文献が付いていた場合、その文章の内容は「事実」になります。一方、付いていない場合は「意見」となります。

※ただし、一般的な共通認識として認められている内容は、たとえ「事実」であったとしても「参考文献」が省かれていることもあります。[例]猫は4つ足で歩く動物である

ここの認識はすごく重要です。今読み解こうとしている文章が、「事実」が「意見」なのかによって、文意が変わってくる場合があるからです。

例えば、あなたが「猫は人を幸せにする」という文章を目にしたとします。もしそれが「事実」だった場合、「過去の誰かが『そのような主張内容』を唱えられる研究結果を示した」ということが読み取れます。一方で「意見」だった場合、「その著者がその論文の実験結果によって『そのような主張内容』を明らかにした」ということになります。ここのニュアンスの違いを意識しながら文章を読んでいきましょう。

この「事実と意見の切り分け」は、みなさんがこれから取り組む「序論・考察」の執筆時にも必要な考え方になります。今のうちに、必ず意識するようにしましょう。

では以降は、英語論文を翻訳し、読み解く「具体的な作業のコツ」を紹介していきます。

3. 英語論文読解に必要な作業方法

ショートカットキーはホント大事よ

輪読会の意義に「①英語力向上」を掲げているのであれば、まず自力で翻訳するのをおすすめします。ただ、自力では限界があると思います。そこで、Google 翻訳を活用しましょう。

まず、アブストラクトはを読んで理解できなかった部分から当たりをつけ、本文の中から「読み解こう」と決めた文章を見つけます。1文1文翻訳かけるのはダルいんで、1,2段落ゴソッと翻訳かけたほうが効率的ですよ。

で、効率的な翻訳手順は以下のとおりです。

    1. 訳したい部分を選択する
    2. Ctrl + C でコピーする
    3. Ctrl + V で「URL欄」に一度ペーストする
    4. Ctrl + A で全選択して再度Ctrl + C でコピーする
    5. 最後にGoogle翻訳にぶちこむ

なぜ一度「サイトのURL欄」に入れるかというと、PDFからコピーすると「改行された状態」でペーストすることになってしまい、変な英語文章に翻訳されてしまうからです。この操作を一度経由するだけで、無駄な作業がへり、翻訳結果もちゃんと出ます。

このちょっとした工夫についてですが、PDFのみについての話になります。Web上のものであれば、おそらく普通に「Ctrl + C コピー」「Ctrl + V ペースト」で翻訳かけられると思います。この点から考えると、オープンソースの 電子ジャーナルがいかに使いやすいかが分かります。

で、Google翻訳を使っても文意が理解できない時、まず疑って欲しいのはテクニカルターム、いわゆる「専門用語」の有無です。その研究分野でしか使われない「用語」や「表現」の場合、翻訳結果が不明確な文章になることも多々あります。

そんな時はまず、その英語表現を『文書内検索 Ctrl+ F』で検索してみましょう。「序論」「材料と方法」の段落で、その専門用語を説明してる文章が見つかるかもしれません。

もしそれでも分からなければ、丸々ググってみましょう。『〇〇 とは?』『〇〇 意味』『〇〇 研究』のように日本語と組み合わせてググると、その用語についての「日本語サイトの情報」が手に入りやすくなります。また、『〇〇』 とともに『その研究領域の用語』を一緒に検索すれば、よりヒットしやすいかもしれません。

見つからない時は、先生や院生に聞いてみてください。このような部分こそ、悩むのが時間の無駄になりやすいので気をつけてください。

「ソフトウェアツール」もたくさん使いましょう

私が重宝してるのは、「Google Chromeの拡張機能」です。

「Google Chrome」とは、Googleという検索エンジンを自分独自にカスタマイズできる機能のことを指します。そしてこのGoogle Chromeで非常に有能な機能が、「オプション的にパワーアップさせる」『拡張機能』と呼ばれるものです。

『拡張機能』は膨大な数があり、その中から自分好みの機能を選び、自由にカスタマイズすることが可能です。ここでは、英語論文読解に有益な3点を紹介します。

拡張機能①Weblio辞典

 

英単語に「マウスのカーソル」を合わせるだけで、意味が画面表示されます。もういちいち辞書を引く必要はありません。

拡張機能②Google 翻訳

Googleはホントにすごいですね、、。翻訳作業も簡易化できます。いちいちGoogle 翻訳サイトを開かなくても、サッと翻訳内容が確認できます。

※上記2つはウェブブラウザ上で力を発揮するのものなので、「PDF資料には無益」であることを注意してください。残念。この点から考えるても、オープンソースの電子ジャーナルは使いやすいですねぇ、、。

拡張機能③Unpaywall

全文が見れるページに飛びやすくなります。とても便利です。


以上です。
英語論文の読解のコツは、もちろん他にもいくつかあります。なにか追記事項あれば、他にも記事作るかもです。
 
英語論文の読解って、あんまり英語力要らないです。これ、私も学部生の頃から、色んな人やサイトなどで「英語力要らない」話を聞かされてきました。当時は「全くそんなことねぇじゃんか」と思ったのですが、いざ自分が読める立場に立ってくると、「たしかに、、」と思えるようになりました。
 
つまり、とにかく「慣れ」なんだなぁ、と思います。学術論文の独特な「構造や型」を理解して、いかにたくさんの「関連のある研究領域の文献」を読むかが重要なのだなと。
 
英語が苦手だ~と嘆くみなさんも、私と一緒に、楽に英語論文を読む方法を探っていきましょう。

 

輪読会とは?読みたい文献と出会うための「検索方法」

学術論文を探す方法はたくさんあります。ただ、やり方を間違えると上手に探すことができません。

この記事では、輪読会で使用する「学術論文」を見つけるための方法を解説します。輪読会に関わらず、文献検索は研究活動の各場面でひつようになってくるものです。

効率的な検索方法をおぼえて、無駄な時間を削減しましょう。


1. 探す前の心構え

兎にも角にも「研究目的」「論文目的」

まず最初に、「あなたの興味がある研究分野」を特定してください。ここが定まらないと、文献探しは始まりません。何に興味がありますか?何を知りたいですか?言語化して文章化してみましょう。

その上で、2種類の考え方を取り入れて欲しいです。それは、「論文目的」「研究目的」を意識することです。

論文目的は分かりやすいです。「その論文がどんな結果および考察を示したいか」になります。みなさんが論文を探す時にメインとしてる部分です。

一方、研究目的は「その研究は誰を幸せにしているか」という発信性の高いメッセージ部分だと思ってください。私で言えば「人と猫のより良い共生社会の実現」みたいな内容がそれに該当します。「論文目的のその先 (こんな目的で実験して、その結果をもとに、、〇〇と主張したい)」みたいなイメージです。

実はここ結構重要です。なぜかというと、論文が見つけやすくなるからです。

キーワード選定が肝要

文献検索の肝は「キーワード選定」になります。ゆえに、検索するキーワードが間違っているだけで、自分が読みたい文献がヒットしなくなります。

では、そのキーワードはどのように考え出すかというと、「具体化と抽象化を繰り返す」ことで生み出します。

たとえば、「猫の利き手」というテーマの文献が欲しかったとしましょう。このテーマであれば、「論文目的」は『猫に利き手はあるか』や『利き手は性別によって異なるか』などになります。これだけでも出ることには出ますが、アイデアおよびキーワードは広がりづらいです。

そこで「研究目的」を考えてみます。「猫の利き手」を探る論文の「研究目的」とは何でしょうか?おそらく「猫のQOLの向上」が一つかなと思います。なぜなら、利き手が分かれば「利き手側の筋肉をほぐすようにマッサージした方が健康になる」かもしれないし、「利き手の方向にオモチャを振ったほうが反応がいい」かもしれない、と、この様に考えられるからです。

・・・ただ、さすがにここまで発展的な考察だと、論文自体には記載がないかもしれません。なので、大切なことは何かというと、「思考や捉え方が広がる」、つまり「抽象化できた」という点です。

「抽象化」できると、キーワード選定の幅が広がります。もし仮に、あなたが「猫のQOL向上」を「研究目的」にしたいと強く思っていたのであれば、別に「他の論文目的」でもいいはずです。例えば、「猫へのマッサージ効果を検証した研究」「猫の遊び反応を高めるための研究」など、こっちの方が、あなたの興味をそそる研究なのかもしれません。

こんな感じで、論文における抽象的な「研究目的」を考えてみると、キーワードの選択肢が増えます。その結果、自分の興味のある文献が見つかる確率が高くなると考えられます。だから「目的」を意識してほしいということです。

では、目的を意識した上で、実際にどのような方法で文献を探せば良いのかを説明します。

2. 探すときのコツ「横に広げて縦に掘る」

以下は、論文を探すときの「考え方」のイメージ図です。

私は、文献を探す時には『方向性』があると考えています。

横方向というのは「並列的な検索」です。具体的に言えば、以下のものたちです。

①Web記事・雑誌記事
②書籍
③論文紹介コンテンツ (サイト・ブログ・Youtubeなど)
④知識のある人から教えてもらう
⑤学術雑誌
⑥Google scholar

上記これらの検索により、みなさんはまず、「とっかかり論文」を見つけてください!「とっかかり論文」とは、自分の興味のある研究分野を知る「きっかけ・入口」になる論文のことです。

そして「とっかかり論文」が見つかったら、今度はで掘ります。縦というのは「直列的な検索」であり、引用参考文献を探す方法のことを言います。

うちの研究室のゼミでは「横方向」の⑥しか教わってないと思います。しかし私は、「横方向に探して、縦方向に掘る」が参考文献を探すコツだと思っています。特に縦は、「卒論の序論作り」で重宝すると思います。

なのでまず、「横方向の検索」を解説します。

【横方向の検索】「とっかかり文献」を見つける

私は、「自分が欲しい英語論文を『Google scholar』から見つける」って、割と「難易度の高い作業」だと思っています。

特に学部生の時分では、学術論文に慣れておらず、「検索するためのワード(専門用語・よく使われる表現)」を知りません。では、それをどうやって知ることができるのか。それは、「その研究分野の論文をたくさん読むこと」です。笑

「服を買いに行くための服がない」
「お金を稼ぐためのお金がない」

なんて言ったりしますが、これって言い得て妙だと思います。学術論文も同じだと思っていて、「学術論文を見つけるために『読むべき学術論文』を知らない」みたいな感じですかね。なんにせよ、つまり、学部3年生のノー知識な状態で「自分が真に知りたい文献を見つける」のは結構難しいということです。

文献検索は、地道にやるとものすごく時間がかかります。そこでの苦労はどう考えても必要のない努力です。真っ先に削減すべきコストだと思っています。

そこで私は、自力で頑張ろうなんてせず、①②③④で探すことを提案します。

①Web記事・雑誌記事

LINEニュースで話題になってる研究とかで全然いいと思います。「ナショナルジオグラフィックス日本版」「東洋経済オンライン」などなど、ネットにゴロゴロ転がっています。うさんくさいサイトもあるので全部ではありませんが、その情報の元となった「学術論文」が記載されていることがあります。それを輪読会で使えば良いです。

まずGoogle scholarではなく、普通のGoogleでググりましょう。

②書籍

これも良いです。特に「海外の著者」が執筆した文献は、巻末にキチンと元となった原著論文が記載されていることが多いです。また、その本のテーマの研究がたくさん記載されていますので、かなり深い知識が得られます。

しかしながら、書籍だとどうしても「最新性」が薄くなります。なんでかというと、書籍は出版まで時間がかかるからです。英語の書籍であれば、なおさら古い文献が記載されています。少し留意しましょう。

③論文紹介コンテンツ (サイト・ブログ・Youtubeなど)

これは、1番グレーに思われがちです。が、1番おすすめです。「子猫のへや」「子犬のへや」の「ニュース一覧」ページを読んでみてください。このサイトでは、英語の学術論文をかなり細かく書かれており、度肝を抜かれると思います。「カラパイア」「マランダー」などのポピュラーサイエンス的な記事も、おのおのの記事によりますが、良い参考になると思います。

最近ではYoutubeなどの発信もあります。メンタリストDaiGoさんのチャンネルくらいしか私自身は知りませんが、調べてみれば見つかるかもしれません。

④知識のある人から教えてもらう

先生や院生に聞きましょう。「自分で調べなさい」と言われたら無理ですが笑。少なくとも私なら、「知っていれば」すぐ教えます。探してる時間は無駄なので。

上記①②③④の良いところは、「その論文の概要を日本語でまず知れる」という点です。これは、ズルでもなんでもなく、効率的に知見(既知)学ぶためのノウハウです。

⑤学術雑誌

ここからは、論文をそのまま探す方法です。この研究分野で言えば、以下のものが参考になると思います。

Anthrozoös 人と動物の関係学
Animal Behaviour 動物の行動
Animal Cognition 動物の認知

どの雑誌もオープンアクセス、いわゆるネット上で閲覧できる文献もありますが、紙じゃないと閲覧できないものもあります。ただ、我々の研究分野に近しい雑誌なら、自分の見たい文献がヒットする確率は上がると思います。

また、紙の雑誌はなく、電子ジャーナルと呼ばれるオンライン上のみで発刊しているものもあります。

scientific reports サイエンティフィックリポート
Plos One プロスワン
frontiers フロンティア

これらのジャーナルは、全てオンライン上でオープンソース (誰でも見れる仕様) になっています。ゆえに、「アブストはいい感じなのに全文見れない~~」みたいな悲劇はないので」安心ですね。

一方、電子上のメガジャーナルであるがゆえに、「自分の読みたい文献領域」を遥かに凌駕する量の文献が記載されています。ここから「自分のほしい論文をさがす」のは、ちょっと非効率ですね、、。

RSSリーダーも効率的です。大学院生になりたい人は必須ですが、「Feedly」での情報収集がおすすめです。参考資料→「Feedlyとは?時短情報収集に不可欠なアプリの使いこなし方」

⑥Google scholar

検索サイト自体は色々あると思いますが、メジャーなGoogle scholar(スカラー)でいいんじゃないかと思います。検索の仕方のコツとしては、「絞る」ことだと思います。

  • 年代を絞る

  • ””を使った「キーワード検索」から“固有名詞”で絞る

方法は、上記2個くらいで十分だと思います。

まず、検索するときは年代を新しいものに絞りましょう。検索画面の左側にボタンがあるので、「2016年以降」くらいでいいと思います。そして、熟語になっている固有名詞は、ダブルクオーテーション””で括って検索しましょう。こうすると、その””内の単語が「必ずその順で載っている」論文がヒットします。

で、ここで重要になってくるのが、「検索ワード選定」です。これはもう、調べるしかありません。「猫の利き手」がテーマなのであれば、『猫 英語』『利き手 英語』などでググりましょう。

ただここで注意すべきことが、カジュアルな英語とフォーマルな英語かどうかです。カジュアルだと、Google scholarで検索をかけてもヒットしません。一方で、どれがフォーマルなのかは、前述の通り、その分野の学術論文を読み漁らないとわかりません。

よって、ここは数撃ちゃ当たる戦法で、様々なキーワードを当て込んでいきましょう。

多くの人はここで「自分が真に読みたい論文」の検索を諦めます。たしかに時間はかかります。だからこそ、①~④の方法で探すのをおすすめしているのです。

 

では、上記の横方向の検索で「とっかかり論文」が何とか見つけてください。そしてその論文が「自分の知りたかった論文」だったのであれば、もう問題はありません。読み始めてください。

一方、「少しズレている」場合や、「これから序論を書くための既知の参考にしたい」などの場合は、検索を続ける必要もあります。そのときようやく、「縦方向」に掘ります。

【縦方向の検索】「とっかかり文献」を拡げる

これら縦作業のメリットの一つ目は「自分が欲しい文献を見つけるための効率が高い」ことです。

研究活動は「たくさんの既知」の上に成り立っています。つまり論文中には「その研究分野でこれまで明らかになってきたこと」がまとめて記載されているはずです。たとえその「とっかかり論文」自体が「自分の欲しい文献じゃなかった」場合であっても、その論文の中から「自分の欲しい文献」を見つけられる可能性が上がります。これはおそらく、横方向の検索よりも楽です。

縦方向の検索には2種類あります。

 

①下方向(過去)の検索「参考引用文献」

これは分かりやすいと思います。文献の中で、特に「序論」と「考察」の中で使われている「参考引用文献」です。過去の文献にはなりますが、あなたが知りたい情報がてにはいるかもしれません。

②上方向(未来)の検索「参考引用文献にされた文献」

今度は①の逆です。「そのとっかかり論文を『参考引用文献』として活用している、『より最新の文献』」です。

確認の仕方は簡単で、Google scholarを使います。ますその「とっかかり論文」を検索して探します。そして、タイトル部分の下部にある「引用元」というボタンを押します。そうすると、一覧で結果が出てきます。

実はこの「上方向の縦検索」が最良の文献の掘り方です。

新しさが正義

さきほど説明したとおり、研究は常に新しいものが優遇されます。なぜかというと、研究は「過去の知見を参考にして『より発展した知見』を求める」という本質を持っているからです。Google scholarのトップページに記載されてある『巨人の肩の上に立つ』とは、まさにこのことから来てます。

縦方向で論文を探すと、常に新しい文献を目にすることが出来ます。自分の卒業論文に関係ある領域の「最新論文」を捕まえましょう。

一方、論文の種類には留意する必要があります。

なぜレビュー論文はダメか

研究論文にはたくさんのタイプが存在します。

みなさんがこれから行っていく「卒業論文」のように、「学位」を求めて作成する長大な「学位論文」

特定の研究領域の文献をかき集めて総合的な考察を述べる「レビュー論文」

得られた研究結果を簡易的にいち早く発表する「Short Communication」

ウチの研究室では、Full paper・Original Article といった、「スタンダードな学術論文」が推奨されています。理由はいくつかありますが、「みなさんがこれから行う『卒業論文』の作成に一番役立ちやすいから」だといえます。

「レビュー論文」は著者が実際に調査をしてるわけではないし、「学位論文」は内容が長大すぎて読み解くのに時間がかかります (あと、著者が学生ですしね)。

なるべくコンパクトに研究がまとまっていて、なおかつ参考にすべき内容を手に入れやすい、のがFull paper・Original Article等になります。

みなさんは、論文の種類にも留意しましょう。


論文検索は、はまると沼のように抜け出せなくなります。私も下手な方ですが、日々、効率的に探すよう心がけています。みなさんも、この無駄な時間を1秒でも消せるように尽力しましょう。

では次の記事で、「文献を見つけたは良いものの、どうやって英語を読み込めばいいの~~」という疑問に答えていきます。

 

輪読会とは?英語論文を読んでプレゼンすることの「意義と目的」

研究活動において「過去の学術論文」は超重要なものです。
 
なぜなら、研究は「未知を既知に変える作業」だからです。つまり、「まだ誰も知らないこと(未知)を研究で初めて明らかにする(既知)作業」が研究活動といえます。
 
であるならば、「どこまで知られているのか?(既知)」を知っていないと、「知らないこと(未知)」を知ることが出来ません。
 
そこで必要になってくるのが、「過去の学術論文」になります。
 
この記事では「学術論文」を読んで内容をまとめて発表する活動、「輪読会」の意義や目的についてご紹介します。

輪読会とは?

輪読会とは「人々が集まって、同じ教科書などの本を読み、その内容について意見を交わすことを意味する語。事前に決められた担当者が、本の内容を訳したりまとめたりしてから、他の参加者が理解できるように発表する形式がとられることも多い。」(ウェブリオ)
 
ご多分に漏れず、私の所属する動物介在療法学研究室では、学部3年次生は「年に3,4回」、4年生は「年に2回」ほど「輪読会」が回ってきました。この頻度が全国の「大学研究室」において少ないか多いかは分かりません。ただ、輪読会は多くの研究室で広く行われるものです。
 
一方で、あまり意義や目的を理解できずに輪読会に臨む学生さんもいます。(私も学部生のときはそうでした)

ウチではなぜ「英語」の「学術論文」を対象にしているのか?

文系分野では、「書籍」などをテーマに輪読会を行ったりもします。このような種類の輪読会では、「単一の書籍(の一部)についてみんなで意見を交わし合う」というのが特色です。
 
一方、多くの理系研究室、そしてウチの研究室の輪読会では、「英語で書かれた学術論文を翻訳」して内容を発表します。「英語」「学術論文」に指定されてる理由はたくさんあります。
 
まず「最新性」が高いということがあります。研究は、この「新しさ」が結構重要です。
 
毎年、世界中で数百万という膨大な学術論文が出版されています。「動物と人の関係学」という狭い領域でも、毎日新しい知見が示されています。
 
つまり、今この瞬間にも、「あなたがやろうとした研究を『別の人間がやっていた』」可能性だってあります。それだとまずいですよね。だからこそ、最新の情報が得られる「学術論文」を読む必要があるのです。
 
では、「学術論文」の内容を読んで発表するこの「輪読会」をすることには、一体どんな意義や目的があるのでしょう。

輪読会の意義・目的は?

たくさんありますが、適当に3つほど挙げてみました。
 
    1. 英語力の向上
    2. プレゼンテーション力の向上
    3. その学問分野における「既知」の向上
 
どれが正解とかはありません。大事なのは、「なにか意義・目的を置いているか否か」を自分で認識しておくことです。

①英語力の向上

例えば、①を意義としておいた場合、学術論文の1語1句を舐めるように読んで知識に蓄えていく必要があります。一方で、読んでいる文献が「バッチリ」自分の読みたい内容とあってなくても問題ありません。(あっているに越したことはありませんが)
 
ちなみに私が学部生の頃は、この①を意義に据えていました。なので、私の輪読会の取り組み方は以下の通りでした。
 
Step1:原文を一読し、「意味の知らない単語」に全て線を引く
Step2:線を引いた単語をすべてキャンパスノートの左端に書き出す
Step3:全ての単語一つ一つを英語辞典で引き、「意味」「発音記号」「品詞」を横に書く
Step4:原文を「単語帳」を見ながら一文ずつ訳していく
Step5:意味が読み取れなかった文章は、Google 翻訳 に入れて意味を探る
 
こんな感じでした。作業期間としては2,3週間くらいだったかな、、。あんまり覚えてないけど。
 
私は英語力がまったくなかったので、『ほとんどの英単語』に線が引かれてました。今考えると強迫性が高かったなーと思うし、それが効率的だったかと問われると分かりません。が、英語の勉強にはなった気がしてます。
 
上記とやり方が同じじゃないにせよ、①を意義に置くのであれば、「英単語の知識」「英文読解力」を向上することに重きをおいた「輪読会準備」が理想であると言えます。

②プレゼンテーション力の向上

一方で②に意義をおいてたとしたら、内容理解を早々に切り上げて、「パワポづくり」「レジュメづくり」に精を出す必要があります。こちらも、「バッチリ」自分の読みたい論文でなくてもOKです。
 
また、読み込む内容は、極端な話、「アブストラクト」と「本文の『発表に必要な最低限の情報』」だけで良いと思います。ガッツリやる必要はありません。
 
「パワポ」などの資料作成技術は、今後の人生のさまざまな場面で必要とされる能力です。①の英語もそうですが、「卒業した後に役立つ能力」に関しては、ぜひ力を入れて努力すべきだと思っています。

③その学問分野における「既知」の向上

そして③の意義です。冒頭につらつら述べた内容は、ここになります。
 
なぜ「英語の学術論文」を読むと「既知が向上」するのかというと、学術論文は「知られていること(既知)の塊」だからです。
 
序論:その研究分野の「社会的な立ち位置」「過去から現在までの発展過程」
方法:「伝統的または新規な研究手法」「評価するための実験機器・尺度」
結果:その論文が示した「その分野の最新研究成果」
考察:その成果を肯定または否定する情報」「その成果に対する論理的な解釈」
 
論文は、上記の内容に関する大量の「参考引用文献」が記載されています。これらは、あなたの知りたい研究分野をよく知る上で超有益な情報です。したがって、上記の2つの目的とは異なり、「バッチリ」自分の読みたい論文を見つける必要があります。そうしないと、有益な「既知」をゲットできないからです。
 
また、論文を読み込むと③その学問分野における「既知」の向上には、「その参考引用文献」をメモしたりまとめたりしながら、自分の序論作成に活用できるように作業しましょう。

意義や目的は据えることが大事

上記の意義と目的、みなさんは当てはまるものはありましたか?何も該当しない場合、別のものを自分で考えてみましょう。
 
意義や目的は1つじゃなくてもちろん大丈夫です。ただ、あまり全部全部~と思うと大変だと思います。「一番重要視するのはコレかな~」みたいな感覚でもいいので、なにか据えてみましょう。
 
ちなみに、おすすめは「③その学問分野における「既知」の向上」ですかね。みなさんはいずれ序論を書いて研究計画を考えていきます。その時、必ず「既知」が必要になるからです。今のうちに知識を蓄えておくに越したことはありません。
 
「意義」や「目的」を作ると、「意思」や「意欲」がわきます。「輪読会に意義なんてないわ~ダルいからやりたくないわ~」という人も、上辺でもいいので何か意義を作ってみましょう。何も作らないより、身になります。
 

 
文献を読む作業は、これから嫌というほど繰り返す作業です。輪読会は、その作業に慣れるための訓練だと思いましょう。ぜひ、意義や目的をきっちり作った輪読会作業をしてください。
 
そして、「じゃあ、バッチリ自分の読みたい論文を見つけるにはどうすればいいのよ?」という疑問のアンサーを次の記事で示していきます。
 
 

【卒業論文の作り方】パワポ 編 ②|パワポ作りで大切なことは「意味のないデザインを避ける」こと

前回の記事で、パワポ作りの大きな流れを説明しました。
 
けれども「具体的にどうすれば質の良いスライドができるのか?」の部分には触れていませんでした。
 
パワポ作りに慣れていないと、どんな点に配慮してスライドを作れば良いのか分からないですよね。
 
この記事では、パワポを作る上で重要な「作成する上での考え方のコツ」をご紹介します。
 
 
 

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【卒業論文の作り方】パワポ 編 ①|パワポ作りには、パワポを使うな!

卒業論文作成で行うことになる「パワポ作成」は、将来さまざまな場面で必要になるスキルです。
 
しかし、「パワポ作成」のイロハ・重要性を理解せず、卒業していく学生さんをたくさん見てきました。その原因には、「パワポ作成が難しい」ことと「教えてくれる人が周りにいない」ことが挙げられます。
 
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