【ラボ日誌 vol.1】 学部3年生の模擬研究報告会が良かった

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先週の金曜日属している動物行動学研究室で「模擬研究報告会」のようなものが行われました。
 
面白かったので、メモに残そうと思います。
 

もくじ

「着想」「計画」「実施」「分析」「解析」の模擬実習

学部・学科改組が行われたのが3年前。その1期生がようやく3年生となった今年は、今までの前例がない「新しいゼミ活動」を始めることになります。それにも関わらず、長いこと自粛期間があり、学部生の子達は非常に苦しい期間を過ごしてきました。

ようやく後期から学部生の登校許可が降り、前期分を取り戻す勢いで活発な「ラボ活動」が行われています。「顔合わせ」から始まり、「実験機器の紹介」などなど、卒論作成に関わる基礎的なゼミ活動が行われています。そんななか、集大成のような形で「模擬研究実習」なるものが行われました。

「模擬研究実習」では、興味のある研究分野が近い学生で班を作り、それぞれの班ごとに『自分たちだけで』「研究計画」を立て、実際に「実験」を行い、その結果を「パワーポイントで発表」するというものでした。つまり、一連の研究活動サイクルを小さく回してみるような感じです。

この取り組みは、私が所属している動物介在療法学研究室では行われていなかった新しいものでした。かなり難度が高そうな実習だとは思いましたが、意義はとても深いように感じます。

とにもかくにも1サイクルを回す

学部生であれば「論文を書く」つまり「研究活動をする」のは初めての子が多いはずです。

その場合、「一度研究活動を体験してみる」のは大きな成長に繋がります。

 
「研究のテーマと目的を着想し」
「達成するための実験計画をたて」
「実験を実施し」
「結果を整理してまとめて」
「解析して考察を立てる」
 
という一連の流れを体験することで、「あ、研究ってこういうものなのか」と肌で感じることが出来ます。

次(卒論作成)につながりやすい実習

これまで動物介在療法学研究室では、これに近い実習はやってきました。
 
班をわけ、「人に関する疾患」を一つ指定され、それに関する文献をまとめ、パワポで発表するというものでした。これはこれで力にはなるのですが、「模擬研究実習」の方が「卒論作成能力向上」においては大きく勝ると感じました。
 
なぜなら、「決められたテーマ」だと「能動性・主体性」が著しく低くなるからです。そもそもの興味が薄ければ「好奇心」も湧きませんし、やっていてつまらない実習になりかねません。なにより、「文献調査」は圧倒的に「受動性の高い」活動です。これだけの実習だと、「能動性が強く求められる『卒論作成』」の力にはなりません。
 
この動物行動学研究室の学生さんは、非常に良いスタートを切れてるんじゃないかなと思いました。

報告会を終えて

とても良い会でした

で、少し前の金曜日に、この「模擬研究実習」の報告会が行われました。どの班も非常に良い発表をされてました。すごかったです。
 
もちろん、非常に短い実習期間では、「結果自体」はシッカリハッキリ出るわけありません。「良い発表」だと認識できる部分はそこではなく、「研究のテーマ(目的)をしっかり言語化できてたこと」や「少ないながらも得られた結果を分析し、解析(考察)できていたこと」などにあります。

よくこの社会状況下で

今回、この「模擬研究実習」は、だいたい約1ヶ月ほどの猶予期間しかありませんでした。
 
その短い期間で研究テーマを決め、実験をし、考察まで立てる。これってなかなかエグいです。3年生であれば尚更。ですが、どの班もキッチリやりきっていました。さすがにすごくて驚きました。
 
先生も言ってましたが、能力を低く見積もっていたとかそういうわけではなく、”私が大学3年の時にこれを要求されてたら、ここまで出来ないな”と素直に思いました。。
 
また、この「コロナ禍」でゼミが滞っていたのに、というところも驚いた要因です。
 
もしかしたら、こんな状況下だからこそ、個々人の「ゼミ活動に対する姿勢」がより前のめりになっているのでしょうか。不自由で辛い代だなと思っていましたが、キチンとバネにして前に進めているようで、良い代だと感じます。
 
あとそれから、問題提起の立て方もよかったです。

目的ドリブンの思考・立て方

猫の研究をしている私なので、どうしても、「猫のケンカ発生頻度と運動量の関係性」というテーマで研究をしていた班の子達の発表が印象に残ってます。
 
この班、目的の着想が素敵でした。
『猫のケンカの発生を未然に防いで幸せな多頭飼育を実現する』という、実直で素晴らしいテーマを掲げていました。こういう、社会的な意義を愚直に表現できる研究をすすめることが、研究分野の発展には不可欠なんだろうと感じます。
 
 
学部生の子の研究計画を添削していると、この「研究目的・意義」が抜けている事例がよくあります。「内容が間違ってる」とかじゃなく「抜けてしまう」のです。
 
「目的が抜ける」理由はたくさんあります。
 
「研究活動というものの本質(研究は誰かを幸せにするためにある!)の認識不足」
「研究手法の大きな先行理解(手段が目的を追い越した)」
「主体性・当事者意識の欠落(卒論を『やらされている』感覚)」
 
どの理由においても、「その人の能力云々」とかは関係ない「環境」に依存するものと思います。
 
環境には「先輩の存在」「研究分野の発展性」そして「ゼミ活動の内容(質や実施する順序など)」が挙げられると思います。
 
そう考えていくと、いかにこの「研究目的抜けちゃう問題」を改善するのが難しいかが分かります。、、。と同時に、「コロナ禍」「学部・学科改組」という、『環境が嫌でも変わり始めている今この時!』が変革の良いタイミング7日なとも感じます。
 
私は大学院生なので、上記で言えば 「先輩の存在」という環境の一部です。ここから、ポジティブな影響を響かせられるように動いていくことが求められるんだろうと感じます。ガンバリマス。

改善案があるとすれば

とても良い会だったのですが、いくつか改善点を。

当事者意識から生まれる挙手

手を上げた子は17人中10人、でした。一番質問していた子は3回、つまり自分以外の班すべてに質問していました。
 
ここの差異は結構重要です。質問を出せる、つまり疑問が浮かぶということは「当事者意識」を持てているということです。「当事者意識」を持てていると、「能動的に(な)思考をする」ことができるので、「能動性が求められる卒論作成」もスムーズに進むと思います。
 
「卒論作成」に不安を抱えている子は、なおさら、ゼミ中に「質問」を出すことを意識すると良いと思います。普通は「当事者意識→質問」ですが、「質問→当事者意識」も可能な方向性だと思うからです。
 
いまから意識できると、のちのち良い影響が生じると思います。

パワポのデザイン面

正直、初回のパワポとしてはメチャきれいだったと思います。レイアウトも肝を押さえていると思いました。
ただ、流石に一回目なので、いくつか気になった点があったので、メモしておこうと思います。
 
  • 文章(文字)が全部「同じ感じ」だと見づらい
    • ⇒文章の中でも、強調したい部分のみは「変化」を付けましょう。「文字の大きさ」を思いきって10ポイントくらい上げてもいいし、「太字や下線」を入れるだけでもメリハリが付きます。「色」を変えるのも手です。 
  • 見ずらい色を使用しない
    • ⇒パステルカラーは見づらいですね。また、「緑地に黒」とかは、濃淡によっては見づらいことがあります。遠目から確認して、視認しやすい色使いをしましょう。
  • スライドテンプレはクセモノ
    • ⇒使っても良いのですが、図形などの規定デザインのせいで、使えるスライド部分が狭くなることも、、。
  •  「数字の半角全角」「文字のフォント」がバラバラ
    • ⇒統一感を意識しましょう。「置換機能」や「ショートカット」を使って効率的に変更しましょう!
  •  箇条書きを「長文」で用いる
    • ⇒なるべく「短文」で!「長文」なら箇条書き以外の表現方法を考える。
 

面白い会でした。
 
次は、自身の卒論テーマぎめです。勢いを落とさず進んでみてほしいです。

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