2019年度に実施した模擬ゼミでは、Evernoteで指導の履歴を残したり、「パワポ」と「iThoughts (マインドマップ)」を用いて講習会を実施したり、いろいろなアプリケーションをつかってきました。
その中でも特に重要視していたのは、Trelloによる個々人のタスク管理でした。
2019年度のゼミ生で上手く活用していた子は少なかったですが、活用してよかったなと強く感じました。
また、改善しだいで、もっと使えるアプリになるんじゃないか?とも思いました。
この記事では、Trelloとは何か、模擬ゼミでの活用方法、そして2020年度のゼミでの新しい活用について、まとめてみました。
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Trello (トレロ) とは?
カンバン方式のタスク管理ツール
Trelloとは、カンバン方式を活用してタスクを管理するためのツールになります。
カンバン方式とは、トヨタが工場でのタスク管理にもちいたフレームワークです。
「プロジェクトごとに、タスクの流れ・進行の状態を、仕事を共にする人たち全員が視覚的に把握しやすくする管理方法」
みたいな感じです。
詳しくは、下記のサイトをみてみてください。
カンバン方式の説明・解説
「カンバン方式の基礎: チームがより素早く効率的に働く方法」
https://blog.trello.com/ja/kanban-method-to-make-teams-agile
料金は、有料プランも用意されておりますが基本操作だけなら無料です。
ちなみに私は無料プランを使用してますが、問題なく活用できています。
ダウンロードは、下記のサイトから。
Trelloホームページ
https://trello.com/ja/home
使い方は?
Trelloは、ボード・リスト・カード と呼ばれる3種類の概念で構成されています。
ボードはそのプロジェクトの名前であり、
リストは作業工程などのカテゴリーの名前、
そしてカードは1つ1つのタスクみたいな感じです。
ビジネスシーンでは、「受注~納品」までの流れをリストで表現するように使うことが多いようです。
しかし、使い方は自由です。
私はリストを日付にして日ごとにタスク管理をしたりしています。
そしてTrelloの最大の特徴は、このリストとカードを自由に移動することが出来る点です。
このように動かしながら、「それぞれのタスクが今どの過程にあるのか」を目で簡単に確認することができます。
後述しますが、リストの作り方次第で、Trelloの活用幅はとても広がります。
また、添付ファイルをかんたんに張り付けることも出来ます。
資料の確認等をメールで送るよりも簡単で、個人的にはとっても楽です。
並列した複数の作業があるのであれば、「チェックリスト」も作れます。
さらに、Google chromeを使っている人であれば、おおくの拡張機能を追加することもできます。
例えば、タスクにかかる目安時間、実際にかかった所要時間をカードに表示できる『Scrum for Trello』。
作業の目安時間を意識することが出来ます。
実際に作業にかけた時間がまとめて見えるので、1日の振り返りなどにも活用できますね。
「Scrum for Trello」
https://chrome.google.com/webstore/detail/scrum-for-trello/jdbcdblgjdpmfninkoogcfpnkjmndgje
その他にも、
「リストのレイアウトを変えられる『List Layouts for Trello』」
「チェックリストがボード上からも見えるようになる『Next Step for Trello』」
などなど。
多様な拡張オプションが用意されています。
自分の好みにあった管理方法にカスタマイズすることが可能です。
模擬ゼミでの活用方法
なぜゼミにTrelloを活用するのか?
理由は2つで、1つ目は私自身のタスク管理能力の向上のためです。
ゼミ、と偉そうに銘打ったからには、学部生の卒論作成を管理しなければいけません。
しかし、指導する私自身、全然タスク管理うまくないのです。。。
これまで多くのアプリを渡り歩き、そのたびに挫折してきました、、。
よりよい博論を書くためにも、このゼミをキッカケに管理能力の向上をはかりたいと思っています。
もう1つの理由は、学部生のタスク管理能力の向上のためです。
私はゼミを運営する前から、「卒論作成」だけでなく「タスク管理」のノウハウも指導したいと思っていました。
というのも、私は新入社員の時に「タスク管理が下手すぎて死ぬほど怒られた」経験があります。
けっこう落ち込んだので、学部生のみなさんには同じ苦みを味わってほしくないなと思います。
残念ながら大学のカリキュラムに「タスク管理術」みたいな講義はありません。
つまり、待っていては誰も教えてくれないのです。
もちろん、優秀な人は独学で学べるでしょう。
ただ、世の中そんなに優秀な人ばかりではありません。
私のように、タスク管理術どころか、そもそもそんな”タスク管理”という概念があること自体を知らない人もいると思います。
大学生のうちに、完璧ではないにせよ少しでも触れておけば、入社時に役立つと信じています。
これらの理由から、私はゼミにTrelloを導入しました。
個人ボードと全体ボードでの運用
具体的にどのように活用したか説明します。
ボードは2種類作っており、「個人ボード」と「全体ボード」です。
個人ボードは、ゼミ生1人1人専用の管理ボードとし、自分の卒論作成に関するタスクを管理してもらいました。
基本で作ってもらうリストは4種類。
「教員に向けてのタスク」
「院生に向けてのタスク」
「持っているタスク」← 大事!
「終わったタスク」
ただ、「持っているタスク」に関しては自由にアレンジしてもらいました。
ここが、Trelloをうまく活用できるか否かの分かれ目になったと思います。
活用できていた子は、かなり工夫を凝らしたリストの作り方をしていました。
一方で、全体ボードはゼミ生全員への共通連絡で使用していました。
例えば、講習会の出欠確認、そこで使用する資料の配布などをメインに活用しました。
また、中間報告会を行った際にも結構活用しました。
発表者毎にカードを作成し、そこにレジュメを張り付けてもらいました。
紙の節約にはなりましたね。
また、発表者に対するフィードバックを、聴衆者が「その発表者のカード」に打ち込んでいき、そのフィードバックに対する回答を発表者自身で打ち込んでもらうという仕組みにしました。
私の当日の手際が悪くて、当日はバタバタしてしまいました。
けれども、効率性は結構よかったです。
人によっては、手を挙げて質問するのが苦手な人もおり、このような仕組みの方が発表者に多くのフィードバックがいきわたるので便利です。
ただまあ、複数人で編集したので、エラーでデータがぶっ飛ぶ、など悲劇はありましたね、、。
そこら辺を改善しつつ、2020年度も活用していきたいですね。
物事の先送りを防ぐために活用
YouTube、漫画、アニメ、世の中はこれらの娯楽にあふれています。
我々がなぜ、「やらなければいけないことを先送りにして娯楽にかまけてしまうのか」というと、『迷う時間』にあるといいます。
人間は、『迷ったその瞬間』に、「より具体的かつ明確な行動」の方に流される性質をもっています。
“さーて、卒論やろう!!、、で、何をしようか、、”
と迷いが生じた時点で、もうダメなのです。
では、先送りを防ぐにはどうすればいいのかというと、迷う時間を減らせばいいのです。
”さーて、卒論やろう!!次はあれをやればいいんだよな!!”
と思えるまで、タスクを細かく分解し、「より具体的かつ明確な行動」まで落とし込むことが重要なんです。
Trelloではリストとカードという概念があります。
リストを作ってカテゴリ別に整理し、やるべきことを1つ1つ小さなカードにする
この過程はまさしく、タスクを細分化する手順と似ています。
リストとカードの作り方を工夫し、上手く作れるようになることで、先送りを防ぐ意識づけができるようになります。
卒論のモチベーションを上げるために活用
人は、「労力をかけてきたこと」に価値を見出します。
その労力が、目に見えやすいほど、その主観的な価値はあがります。
「嘘でもいいから進んでいる感覚」を作り出すことが、モチベーションの向上に不可欠です。
そこで私は、個人ゼミボードに作成する「終わったタスク」リストを重要視していました。
Trelloをかなり活用していた人は、半年間の指導期間で200近くのカードを作っていました。
一歩一歩積み重ねてきたタスクが目に見えることは、確実に「前に進んでいる感覚」を生み出します。
それが卒論作成のモチベーションに繋がります。
これは、先ほどの先送りを防ぐコツの1つでもあるともいえますね。
スクロールした時にズラーーっとタスクが流れれば、多少なりとも達成感をえられると思います。
折に触れて、「終わったタスク」を眺めてみてください。
2020年度の活用
昨年度は、Trelloによるタスク管理をかなり個々人にお任せしている状態でした。
しかし、自由度が高すぎるゆえに、上手く活用しきれていない子が多かったです。
今年度は、もっとTrelloを活性化していきたいと思ってます。
期限の設定
昨年度は、『期限を切る』という行為が出来ていませんでした。
私もそうですが、期限を作らないと人は動きません。
逆に言えば、期限さえ付ければ、人は動きます。
長期プロジェクトであれば、逆算して、小さな期限を細かく設ける必要があります。
カードごとに期限を設けて、可視化して、意識づけしていこうと思います。
思考を文章化する訓練
頭で考えていることを相手に伝える行為は、想像以上に高度な技術です。
また、人と人の話し合いは、場合によっては時間を大きく食います。
昨年度は、個人ゼミが少し非効率で、個々人にかける時間が長くなっていました。
今年度は効率化のために、「個人ゼミのテンプレ カード」を活用しようと思います。
説明欄の使い方はもっと自由でいいのですかね。
ただまあ、だいたい質問のカテゴリは「相談系」と「指導系」の2つだと思います。
ここらへんを事前に文章化しておくだけでも、かなり話し合いがスムーズなると思います。
また、指導履歴にコピペできるので、さらに時間が省けて嬉しいです。
各自の卒論進捗状況の共有と確認
人は、周囲の環境にモチベーションを左右されます。
身近な人が前に進んでいる姿を見ると、焦りがうまれます。
その焦りは、行動意欲をうみます。
2019年度は、各自の個人ボードを全ゼミ生と共有する形にして可視化してました。
ただそれだと、「他人のボードをわざわざ開いて見る」という作業コストが発生します。
なので、他の人のボードを見てる人はたぶん少なくて、効果がなかったですね。
2020年度は、全員が頻繁に開く「全体ゼミボード」の方に、個々人の進捗状況をゼミ生全員が確認できるようなカードを作るといった仕組み作りにしてみようと思います。
私の進捗も載せたりすれば、私自身にもよい動機づけになりますね。
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Trelloについて、よくわかってもらえたでしょうか?
実は私、3年くらい前から個人的に使っておりました。
しかし、うまく活用ができず、手を出しては放置を、2年くらい繰り返してました。
ただ、2019年度に後輩に教える過程をへて、再度活用するようになりました。
今では毎日つかってます。
Trelloはホントに自由度が高いんです。
多くの拡張機能もあり、発想次第でいくらでも運用の仕方がみつかります。
最初の頃は、その自由度が逆に障害となり、使いかたを迷う時期がありました。
しかし、いつしかその障害よりも好奇心が上回り、活用できるようになりました。
好奇心は、活動の動機づけや継続に重要であることを実感しましたね。
みなさん。
どんな小さいことでもいいです。
ググって、何か機能を追加してみてください。
好奇心が出てきます。
その好奇心が、「タスク管理」についての知識を授け、卒論のへの活動意欲も作ります。
ボードの壁色紙や、アイコンの写真とかも自由に変えることができますよ。
卒論以外のプライベート用のボードも作って、何か活用してみるのもいいですね。
そんな小さなことから、好奇心を作ってみてください。
ぜひ、自分オリジナルのタスク管理方法を見つけていきましょう。