”首根っこをつかむ”と猫は大人しくなる?|つまみ誘発性行動抑制の年齢による減少

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災害などの有事の際はもちろん、動物病院に猫を連れて行く際、猫をキャリー等に速やかに入れる必要があります。

また、動物病院での診察中に、不安で暴れてしまう猫もいます。

そんな時に役立つ方法として「猫の首の後ろをつまむ」という方法があり、これは「つまみ誘発性行動抑制」(Pinch-induced behavioral inhibition: PIBI)と呼ばれる方法です。

今日紹介する論文では、「PIBIの有効性は年齢によって変わるのか?」を調査し、猫の臨床場面に役立てようという試みをしています。

 


もくじ

文献の情報

The efficacy of pinch-induced behavioral inhibition (clip restraint) in domestic cats (Felis catus) declines with age
猫のピンチ誘発性行動抑制(クリップ拘束)の効果は年齢とともに低下する

Andrews, C. J., Cosner, Z., & Thomas, D. G. (2022). The efficacy of pinch-induced behavioral inhibition (clip restraint) in domestic cats (Felis catus) declines with age. Journal of Veterinary Behavior, 49, 15-19.

背景・目的

PIBIは臨床の場面にて、猫の行動を抑えるための有効な手段ですが、研究の数は少ないのが現状です。

そこで本研究の目的は、PIBIの有効性を確認し、年齢によって反応が異なるのかを調査する。

材料と方法

調査対象

142頭(雌72頭、雄70頭)の猫

子猫(0~0.5歳;n=14)
ジュニア(0.5~2歳;n=27)
成猫(2~6歳;n=43)
成熟猫(6~10歳;n=32)
シニア(10~14歳;n=26)

調査計画・流れ

猫が慣れている部屋に1頭ずつ連れていき、首筋部分に3本の洗濯ばさみを付ける。その状態で猫を自由にし、猫の反応を観察した。

(1)無反応,(2)弱い,(3)中程度,(4)強い,(5)非常に強い

の5段階で分類され、3~5が「効果アリ」と判断した。

結果・考察

  • 142頭中、95頭(66.9%)がPIBIの効果的アリ
  • 効果は年齢とともに減少
    • 子猫100.0%
    • ジュニア猫74.1%
    • 成猫69.8%
    • 成熟猫53.1%
    • シニア猫53.8%
  • メス猫よりもオス猫のほうが効果アリ
  • 去勢していない猫のほうが効果アリ

文献に対する感想・内容の転用 (抽象化)

Abstractしか読めないため、あまり深く考察部分を知ることが出来ませんでした。

年をとると効果が薄くなるのは、何でなんですかね。もともとPIBIのメカニズムとしては、母親が子供をある場所から別の場所に移動する際の「固まって動かなくなる」というメカニズムによるものと考えられています(Pozza et al.2008より抜粋) 。

なので、年齢が高まるほど、子供の頃の反応が無くなるんでしょうか。また、年齢が低くなり外部刺激に対する反応性が鈍くなるからですかね。

また、メス猫よりもオスが効果的なのは、そもそもPIBIを「する側」が母親なので、その点の違いなんでしょう、か?

去勢の有無による違いも、不思議です。ぜひ考察読みたい。

何れにせよ、PIBIが非常に有効な「猫を落ち着かせる手段」であることがわかります。

次の課題は?

ただ、強くつまみすぎることや、長い時間つまむことは、猫の体にとって悪影響になりかねません。

ですので、つまむ力とか、具体的な時間とか、より実践の際に考慮すべきポイントに絞った研究が望まれるのかな?と思いました。

どんなことが言える?

PIBIは効果的に使えば、猫のストレスを低下することにも繋がります。PIBI時には心拍数も下がると思いますので、生理的な鎮静作用もあるかと思いますし。

ただ、使うタイミングを限定するのはもちろんですが、理想なのは、なるべく使わないで済むように日頃からトレーニング等を行うことなのかなと思いました。

診察は難しいですが、爪切りやキャリートレーニング等なら、PIBIをせずに、日常的に慣らして行くことは可能ですね。

 

 

いかがだったでしょうか?

猫がストレスなく暮らすための一つのツールとして、PIBIは使えるのではないでしょうか?

もちろん使わないことがベストですが、うまく活用することは、結果的に猫を幸せにすることが出来るかも知れません。

 

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