本日の輪読会は4題でした。
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題目1「Horseback riding therapy for a deafblind individual enabled by a haptic interface」
Matjaž Ogrinc, Ildar Farkhatdinov, Rich Walker & Etienne Burdet
2018, Assistive Technology, 30:3, 143-150, DOI: 10.1080/10400435.2017.1288178
目的:
盲ろう者(聾唖者)が乗馬療法を受けられるために開発した、新しい触覚インターフェイスの有用性を検討すること。
方法:
使用した新しい機器は、騎乗者の両の二の腕に装着し、インストラクターからの支持を振動によって伝えるものである。
この機器から、『馬の進む方向』などの指示を行うことができる。
2名の被験者に対して実験を行い、1人は機器を装着し、もう1名は対照群としてヘッドフォンを装着して参加した。
結果:
新しい機器を装着した被験者は、対照群の被験者と比較して、方向転換時にミスが見られた。しかしながら、『自立している感覚』や『喜び』は非常に高かった。
虎太郎所感:
IoT的な問題解決方法の視点を持つことは、これからのヒトと動物の関係学においてやはり重要であると感じました。
題目2「Labradors to Persians: Perceptions of pets in the workplace」
Rose M. Perrine & Meredith Wells
2006, Anthrozoös, 19:1, 65-78, DOI: 10.2752/089279306785593928
目的:
ペットの存在は、『職場環境』や『会社』に対する印象に影響を与えうるか。
そして、その影響は動物の品種によって異なるか?
方法:
482名の学生に対して、ランダムに仕事場の風景の写真を見せ、それに対する印象を評価してもらった。
写真の種類は大きく3種類で、『動物が写っていない場合』『6品種のうちのどれかの犬が写っている場合』『4品種のうちのどれかの猫が写っている場合』であった。
結果:
「動物が写っていない場合」と比較して、「動物が写っている場合」の写真を見た被験者は、『従業員の忙しさが少ない』ように感じ、『社会的相互作用』が高いと評価した。
一方で、『清潔感』や『職場の専門性』は低い印象がありました。
また、犬も猫も、品種による印象の違いは小さかったものの、短毛の黒猫に関してはあまり好まれなかった。
虎太郎所感:
(西洋ではなく)アメリカで行われた調査であっても、黒猫に対する印象が悪いのは意外でした。
日本でもそうなのでしょうか、、。黒猫は可愛いのに。
題目3「Owners’ view of their pets’ emotions, intellect, and mutual relationship: Cats and dogs compared」
Minori Arahori, Hika Kuroshima, Yusuke Hori, Saho Takagi, Hitomi Chijiiwa, Kazuo Fujita
Behavioural Processes 141 (2017) 316–321
目的:
猫、および犬の飼い主が、自身のペットをどのような存在として認識しているのかを調べた。
方法:
猫の飼い主74名と、犬の飼い主92名に対してアンケート調査を行った。
ペットと飼い主の距離感、ペットの性格、などの項目に対して、5段階、および自由記述で回答してもらった。
結果:
犬の飼い主と比較して、猫の飼い主は、自身のペットを『家族』として認識していなかった。
一方で、猫の飼い主の中では、家族と認識している人は、そうでない人と比較して、『思いやり』の項目が高かった。
虎太郎所感:
「自身のペットを家族と認識」するためのキーポイントに、「猫が自身に対して『思いやり』を感じているか」という要因があることが分かります。
猫を飼っている身としての個人的な意見としては、私は猫を家族として認識してますが、飼い猫が私に対して『思いやり』の感情を持っているとはあまり思えないですね、、(笑)。
題目4「Compatibility of Cats With Children in the Family」
Lynette A. Hart, Benjamin L. Hart, Abigail P. Thigpen, Neil H. Willits, Leslie A. Lyons and Stefanie Hundenski
Frontiers in Veterinary Science | November 2018 | Volume 5 | Article 278
目的:
猫を飼育している家庭における、猫と子供の関係性を、多様な要因から分析し明らかにすること。
方法:
猫を飼育している865の家庭の保護者に対して、アンケート調査を行う。
結果:
アンケート調査における結果を主成分分析にかけた結果、「積極的な猫のインタラクション」「猫の恐怖心と攻撃性」「猫の遊び心と、子供の積極的な反応」の3つの主成分が検出された。
それら3つの主成分から分析をした結果、猫との関係性を良好にする変数として、「多頭飼育」「1~6歳くらいの幼齢期からの飼育」「ブリーダーやシェルターからの引きとり」などが挙げられることが分かった。
虎太郎所感:
ブリーダーやシェルターなどからの引取が推奨される、という考察は、個人的に非常に意義深い点だと思いました。
殺処分をなくすための活動の1指標として使えるのではないか、と思いました。
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猫と飼い主の関係性を、「猫側の視点」と「飼い主側の視点」から論じている文献があり、非常に興味深かったです。
(猫の) 行動的側面からの分析を用いることで、より明瞭な考察ができるのではないかと感じました。