本日の輪読会は4題でした。
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題目1「Depression, loneliness, and pet attachment in homebound older adult cat and dog owners」
犬と猫を飼育する在宅高齢者の、抑うつ、孤独、ペットへの愛着
Sandy M. Branson, Lisa Boss, Stanley Cron, Dennis C. Turner
J Mind Med Sci. 2017; 4(1): 38-48
doi: 10.22543/7674.41.P3848
目的:
在宅高齢者にとって、飼い猫および飼い犬が有益な存在であるかどうかを検証すること。
方法:
対象者は、犬の飼い主27名と、猫の飼い主12名。
「GDS (Geriatric Depression Scale-Short Form) Short Form 」→ 高齢者用うつ尺度短縮版
で被験者のうつ状態を測定。
「R-UCLA (Revised University of California-Los Angeles) 」→ 改訂版 カリフォルニア大学ロサンゼルス校
で被験者の孤独感を測定。
さらに、「ペットに対する愛着度」も測定した。
結果:
猫の飼い主は、犬の飼い主よりも抑うつ症状が少なかった。
孤独感に関しては、犬と猫で差はなかった。
また、愛着度に関しては、どちらも差はなく高い数値を示していた
虎太郎所感:
ノルウェーの研究
(Enmarker I, Helzén O, Ekker K, Berg AT. Depression in older cat and dog owners: the Nord- Trøndelag Health Study (HUNT)–3. Aging Ment Health. 2015; 19(4): 347-52.)
では、今回の結果とは逆で、猫の飼い主の方が犬の飼い主よりも抑うつ傾向が高いという結果が得られているようです。
こちらの研究はかなり大規模調査 (12,093人) なので、こちらの方が信頼性高いのかな、と思っちゃいます。
国も、使っている尺度違うので、いろいろ解釈はあると思います。
また、「抑うつ傾向が高い人」が猫を飼育しているから、という逆方向も考えられますしね。
題目2「The feasibility of brief dog-assisted therapy on university students stress levels: the PAwS study」
大学生のストレスレベルに対する、短時間のドッグセラピーの可能性
Emily Wood, Sally Ohlsen, Jennifer Thompson, Joe Hulin & Louise Knowles
J Ment Health, 2018; 27(3): 263–268
目的:
短時間の盲導犬の介入は、学生にストレス低下をもたらすか否か、を調べること。
方法:
STAI (state trait anxiety inventory) → 状態―特性不安尺度
で被験者の不安状態を測定。
血圧を測定。
127人の学生に対して実験を行った。
6人で1つグループとなり、1~2頭の盲導犬と、15分間のセッションを行った。
結果:
収縮および拡張血圧、状態不安、すべてがセッション後に低下した。
虎太郎所感:
大学生、を対象にしているところが、面白い研究でした。
また、結果も顕著で明瞭だったのも、面白いです。
題目3「Scent of the familiar: An fMRI study of canine brain responses to familiar and unfamiliar human and dog odors」
なじみのある匂い:見知らぬ人や犬と、よく知る人や犬に対する犬の脳の反応の、fMRI研究
Gregory S. Berns, Andrew M. Brooks, Mark Spivak
Behavioural Processes 110 (2015) 37–46
目的:
犬の嗅覚機能における尾状核の役割を、fMRIで確認すること。
方法:
被験犬は12頭。犬種はゴールデンからボーダーコリーまで様々。
匂いの種類は、以下の5種類とした。
①身近な人間
②身近な犬
③見知らぬ人
④見知らぬ犬
⑤自分 (つまり犬)
犬は会陰部、人は脇の下から匂いを採取した。
匂いを3秒を嗅がせ、それを10回 (合計50施行) 行った。
その際の、「嗅球」と「尾状核」の2領域に着目をして解析を行った。
結果:
嗅球では、匂いによって活性に大きな違いはなかった。
けれど、尾状核に関しては、身近な人の匂いの時にのみ、活性化が有意に大きかった。
さらには、介助犬は、他の犬と比較して尾状核の活動が有意に大きかった。
虎太郎所感:
とっても面白い研究ですね。犬だからこそ、というべきか 笑。(猫じゃできんね 笑)
介助犬という特殊な訓練を受けたらからなのか、介助犬になれるような気質を持っているからなのか。
題目4「Social interaction analysis in captive orcas (Orcinus orca) 」
捕獲されたシャチの社会的行動
Paula Sánchez–Hernández, Anastasia Krasheninnikova, Javier Almunia, Miguel Molina–Borja
Zoo Biology. 2019; 38:323–333.
目的:
管理下にあるシャチの社会的行動を調べることで、福祉を向上すること。
方法:
人がいる時「potential human presence (PHP)」と、人がいない時「no human presence (NHP)」で、シャチの行動を比較した。
結果:
PHPとNHPで、行動の種類の比率に、有意な差がなかった。
虎太郎所感:
(素人には) かなり理解が難しい研究でした。専門用語が多くて、、。
他にもいろいろな指標 (調整された調停傾向「corrected conciliatory tendency (CCT)」とか) 見てましたが深くは読み取れませんでした。
この研究で示されたのは、「個体間の社会的相互作用を見極めて、飼育環境を分けること」などが大切だよ~との主張かな、と思います。
野生動物で、海の生き物であるシャチで行動解析をするのは、きわめて大変そう、、。
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最近、投稿が全くできていませんでした。
また、ぼちぼち再開したいと思います。