猫を運動させることは大切です。
なぜなら、猫の身体活動は、猫の健康状態に直結する要素だからです。
今日紹介する論文では、「猫の身体活動と、猫の年齢やボディコンディションスコアとの関連性」を調査をして、猫の健康福祉に役立てようとしています。
文献の情報
Association of age and body condition with physical activity of domestic cats (Felis catus)
猫の運動量と年齢・ボディコンディションの関連性
Smit, M., Corner-Thomas, R. A., Weidgraaf, K., & Thomas, D. G. (2022). Association of age and body condition with physical activity of domestic cats (Felis catus). Applied Animal Behaviour Science, 248, 105584.
背景・目的
猫の身体活動は、一日の総エネルギー量における30%を占めると言われている。
そのため、身体活動について知ることは、猫の肥満を防ぐなどに繋がり、健康福祉の向上に役立ちます。
そこでこの論文では、猫の身体活動は年齢によって変化するのか、ボディコンディションとの関連性はあるのかを評価します。
材料と方法
調査対象
137匹猫
1才未満:仔猫 (n = 10)
1~2才:若齢猫 (n = 37)
3~6才:青年猫 (n = 30)
7~10才:成熟猫 (n = 33)
11~14才:老齢猫 (n = 27)”
※Abstractしか読めない論文のため、他の文献Öhlund et al., 2018より抜粋し推定しています。
調査計画・流れ
猫に7日間加速度計をつけ、運動量を調査する観察研究。
また、ボディコンディションスコア(見た目から猫の太り具合を評価する指標)も同時に評価。
結果・考察
- 2才までの若い猫たちは、3才以上の猫より活動量が高い
- 3才から14才まで、活動量は一定になる
- 活動量が低い猫ほど、ボディコンディションスコアも高い(太っている)
文献に対する感想・内容の転用 (抽象化)
Abstractしか読めない論文だったため、情報が薄いです。
ただ、3才以降は運動量が落ち着いていく、というのは面白い知見だなと思いました。
「うちの子、いつまで経っても元気満々なんだけど、落ち着く日は来るのかしら・・」と不安な飼い主さんは、3才以降は活動量が下がって落ち着くのではないかとも考えられます。
また、肥満についてのかなり詳細な横断的調査をしている他文献(Öhlund et al., 2018)をみると、猫の45%が肥満傾向にあるとされています。しかも興味深いのが、前述は獣医師の評価によるもので、「飼い主が評価した場合は22%」まで下がるそうです。
つまり飼い主は、猫の肥満に対して楽観的に捉える傾向にあるかもしれません。猫の健康福祉を考える上で、この認識にずれは正していく必要があるのかな、とも感じました。
次の課題は?
(Öhlund et al., 2018)の研究によると、オス猫は太りやすく、バーマンやペルシャ種は太りやすいそうです。ここらへんの知見を、今回のような加速度計を使用した観察を組み合わせて検証していくのも必要かなと思いました。
また、15才以上の猫ちゃんたちの活動性も気になりました。
あと、具体的な「飼い主との遊び」などとの関連性も気になりました。
どんなことが言える?
3歳頃までの猫ちゃんは、身体活動が少なくなり落ち着くかも知れません。したがって、この時期から特に、猫ちゃんの肥満度合いを気にしておく必要があるのかなと思います。
身体活動の減少は肥満への架け橋になってしまうため、猫ちゃんの体重をこまめに測るなど、日々の観察が必要なのかなと思います。
いかがだったでしょうか?
ただ、活動量が低いことが肥満につながると考えると、猫ちゃんを遊ばせる工夫を凝らしていくことは価値がある行動です。
新しい遊び道具を買って、猫をハッスルさせましょう。