本日の輪読会は2題でした。
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題目1「Turning the Page for Spot: The Potential of Therapy Dogs to Support Reading Motivation Among Young Children」
幼児の読書意欲のサポートとしてのセラピードッグの可能性
Camille Xinmei Rousseau & Christine Yvette Tardif-Williams
2019, Anthrozoös, 32:5, 665-677
目的:
セラピードッグの存在が、児童の読書の持続時間に影響を与えうるかを調べること。
方法:
5匹のセラピードッグと、6~8歳の子供17人が参加。
セラピードッグが存在している場合と、そうでない場合で、読書中の子供たちの状態を比較した。
内発的動機づけ尺度 (Intrinsic Motivation Inventory-Reading: IMI-R) を用いて、子供たちの読書に対する意欲などを計測した。
結果:
犬がいた場合の方が、読書時間が長くなり、読書に対する動機づけが高まった。
虎太郎所感:
『リーディングドッグプログラム』と呼ばれる活動は有名で、犬に絵本などの読み聞かせをすることで、子供たちの読書意欲が高まることは知られています。
定性的だけでなく、既存の尺度で定量的に示していくことで、セラピードッグの有用性をより高めることができるのではないかと思います。
題目2「Music therapy for children and adolescents with behavioural and emotional problems: a randomised controlled trial」
行動および情動面に問題を抱える青年や子供に対する音楽療法: ランダム化比較試験
Sam Porter, Tracey McConnell, Katrina McLaughlin, Fiona Lynn, Christopher Cardwell, Hannah-Jane Braiden, Jackie Boylan, and Valerie Holmes, On behalf of the Music in Mind Study Group
Journal of Child Psychology and Psychiatry 58:5 (2017), pp 586–594
目的:
精神疾患を抱える青少年に対する、音楽療法の効果を検証すること。
方法:
北アイルランドの251人の青少年を対象とした。
療法期間は12週間で、効果の検証がセッションの1週間後 (短期効果チェック) と14週間後 (長期効果チェック) に行われた。
参加者は、
「対照群」: カウンセリングや薬物療法といった、通常の療法を行う
「実験群」: 週に1回、30分の音楽療法を行う
に分けられ、
Social Skills Improvement System Rating Scales (SSIS): 社会的スキル
Rosenberg Self-Esteem Scale: 自尊心
Centre for Epidemiological Studies Depression Scale for Children (CES-DC): うつ状態
Child Behaviour Checklist: 児童の行動
などの測定指標が比較された。
結果:
小さいものの、社会的コミュニケーション能力、うつ病、自尊心など、多くの項目で改善を示した。
しかし、これらの改善は短期的なものであり、さらなる調査が必要であると言える。
虎太郎所感:
この結果は、たしか、以前の輪読会で行われた「犬の介在療法」の研究と似ていると感じました。
効果自体は、若干ながらある。
しかし、それは短期間のもので、長期で見ると他の療法と変わらない(効果が無くなる)。
薬物療法など、既存で、もっともクリティカルに効果を出す療法と並行する形、もしくは、短期間のみに効果を絞る形で、役割を担うべきなのかなとも感じます。
なんにせよ、研究が進むことで、より効果的な介入の方法が見つかるはずですね。
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今回は2題と、寂しい感じでしたね。
学部生の皆さん、頑張りましょう!