前回の続きで、3~4題目です。
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題目3「Influence of riders’ skill on plasma cortisol levels of horses walking on forest and field trekking courses 」
森林および野外のトレッキングコースを歩いている馬の血漿コルチゾールレベルに対する、乗り手の技術の影響
Ayaka ONO, Akihiro MATSUURA, Yumi YAMAZAKI, Wakako SAKAI, Kentaro WATANABE, Toshihiko NAKANOWATARI, Hiroshi KOBAYASHI, Mami IRIMAJIRI and Koichi HODATE
Animal Science Journal (2017) 88, 1629–1635
目的:
レクリエーション活動として行われるホーストレッキングにおいて、そのコースの環境、そして乗り手の技術は、馬のストレス反応に影響を及ぼすかを検証すること。
方法:
合計6頭の馬が実験に参加。
ライダーは3名で、技能が初級・中級・上級と多様にした。
「フィールドコード」と「フォレストコース」の2つのコースを用意し、血漿コルチゾール濃度の比較を行った。
結果:
ホーストレッキングを行った馬のコルチゾール濃度は、ホーストレッキングを行わない対照日と比べて、高い数値を示した。
また、ホーストレッキングが終了してから2時間後には、通常の数値まで落ち着いていた。
一方で、上記の結果は、乗り手の技術、さらにはコースとは無関係であった。
虎太郎所感:
乗り手の技術や、選択するコースに、馬のストレス数値が影響されないというのは、馬の福祉の観点から考えれば非常に好ましい結果と考えらえれます。また、安全にホーストレッキングが行えるという観点からも、有益な情報といえます。
ただ、コルチゾール濃度の上昇自体は顕著にみられているので、ホーストレッキングを実施する回数などは厳格に配慮すべきであると感じます。
題目4「Does affective information influence domestic dogs’ (Canis lupus familiaris) point-following behavior?」
情動的な情報は、犬の方向追従行動に影響をあたえるか
Ross Flom• Peggy Gartman
Anim Cogn (2016) 19:317–327
目的:
飼い主の感情が、犬の探索行動と追従行動に影響をおよぼすかどうかを検証すること。
方法:
実験1では、45匹 (メス23匹) の犬を対象とした。
この実験では、以下の3条件を設定され、実験者は『顔の表情』や『声の質』でその条件を切り分けた。
「感情を示さない (Neutral)」
「Positiveな感情を示す」
「Negativeな感情を示す」
実験では、まず犬の名前をよび、アイコンタクトが交わされたら、犬の目の前にある2つの容器のうち、『餌の入っている容器』の方を指さした。
しかし、「Negativeな感情を示す」条件だけは、『餌の入っていない容器』を指さしてもらった。
実験2では、15匹 (オス8匹) の犬を対象とした。
この実験は、手順はすべて実験1と同様であり、「Negativeな感情を示す」条件のみが行われた。
そして今度は、「Negativeな感情を示す」条件で、かつ、『餌の入っている容器』を指さしてもらった。
結果:
実験1
犬が、餌が入っている容器を選ぶ頻度は、「ネガティブな感情を示す」条件においてのみ有意に低かった。
実験2
犬が、餌を入っている容器を選ぶ頻度は、実験1の結果と比べて有意に高くなっていた。
虎太郎所感:
この結果は、筆者の予想を裏切り(?) 犬は指さし追従行動において、人の声色や表情といっや感情的な要素を見ていない、という結果になりました。
つまり、犬は単純に、指をさした方向、先、に意識を向け、行動を取ることが分かったということです。
これだけでも普通にすごい能力ですね。
題目5「Humans can identify cats’ affective states from subtle facial expressions」
人間はわずかな表情から猫の感情状態を識別できる
LC Dawson, J Cheal, L Niel, and G Mason
Animal Welfare, Volume 28, Number 4, November 2019, pp. 519-531(13)
目的:
人間が、猫の表情からポジティブ、ネガティブな感情をどの程度特定できるのかを調べること。
方法:
被験者はオンライン上で募集された6329人。
彼らに、猫がネガティブおよびポジティブな感情を呈している動画を10本ずつ、合計20本見てもらい、それぞれの動画に対して「猫がポジティブであるかネガティブであるか」を判定してもらった。
結果:
全被験者において、20のビデオのうち平均11.85のビデオで正解した。すなちち59%の正答率だった。
一方で、被験者の13% (797人) は、20のビデオのうち15を超える、非常に高い水準の正答率だった。
また、年齢が若い人、女性、ペットに対する愛着度が高い人の方が、正答率が高いことが示された。
虎太郎所感:
平均を超える水準で正解できているのは、驚きでした!そんなに、猫の表情分かるもんですかね。
また、女性、ペットの愛着度が高い人、が高い正答率であったのは、なんとなく予想できる結果でした。
面白い研究。
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最後の猫の研究、SNSを用いた、現代っぽい研究でいいですよね。
不特定多数の人へ、(なるべく)ランダムな条件で被験者を選択し、ビッグデータをゲットする。すごく効率いい感じ。
(ただ、これ、猫だから答えてくれた側面もあるのかな、、。猫動画好きな人は多いし。これが他の動物だと、こんなにスムーズにいくものかな。もしくは、ゲーム性を高めているから、猫とか関係なくいけるのかな。)