猫の性格を知ることは大切です。
なぜなら、彼らの性格は行動に反映され、猫自身の健康、我々飼い主の健康、猫と我々の関係に影響を及ぼしうるからです。
そのため、猫の性格傾向に関する研究が進められています。
今日紹介する論文では、「猫の性格を調べるアンケートを新たに開発し、猫の性格と関係する要素を探る」という調査をして、猫のシェルターでの猫の引き取りに役立てようとしています。
文献の情報
The effects of owner and domestic cat (Felis catus) demographics on cat personality traits
飼い主と猫の属性が、猫の性格特性に及ぼす影響
Leech, L. E., Preziosi, R., Stoycheva, R., & Pastorino, G. Q. (2022). The effects of owner and domestic cat (Felis catus) demographics on cat personality traits. Applied Animal Behaviour Science, 248, 105570.
背景・目的
猫の性格傾向を知ることで、飼い主との関係性の向上を始めとする多くのメリットがある。
本研究では、より簡易的なアンケート調査により猫の性格を数値化する方法を探る。
また、得られた結果を元に、その性格に影響を及ぼす「飼い主・猫の人口統計学的属性」「家庭環境」を調査する。
材料と方法
調査対象
ヨーロッパ、北アメリカ在住の猫の飼い主336名
調査計画・流れ
アンケート調査を実施。
性格傾向を数値化する尺度は、既存の「飼育下のトラ」「飼育下のペンギン」を対象にした論文をもとに作成。
34の性格特性を用意し、それぞれに該当する詳細な行動例を記載している。
例
特性:活動的
詳細:家の中、もしくは外を動く(歩く、走る、つきまとう)
その特性の行動が、全く観察されない場合は1を、常に観察される場合は12とし、12段階で評価した。
結果・考察
- 室内飼育の猫は、「猫への恐怖心・攻撃性」が低く、「賢さ」が高い
- 多頭飼育の猫は、「他の猫にフレンドリー」で、「飼い主に対する攻撃性」が低い
- 猫派の飼い主に飼われている猫は、「好奇心」が高く「飼い主に対してフレンドリー」である
文献に対する感想・内容の転用 (抽象化)
論文全体を通して、「猫の性格に”影響を与える”特性」という表現をされていました。
でも、オンラインのアンケート調査で横断的に調べているのに、そんな一方通行な表現してもいいんでしょうか・・?私の読み込みが甘いだけですかね。
特に飼い主が「猫派か犬派か」なんて、「飼っているの猫の性格が好奇心旺盛でフレンドリーだから飼っている」では??と思っちゃいました。飼い主がその猫を「飼う前に」アンケートしているならまだしも。
あと、シェルターでの譲渡と絡めて研究の意義を論じていましたが、あまり具体的な活用手法が見えてきませんでした。
という感じで、少し違和感がありましたが、内容自体はとても興味深かったです。
次の課題は?
シェルターでの譲渡率向上を掲げているので、
この性格傾向アンケートを応用したマッチング支援をする研究が望まれるのかなと思いました。
超難しそうですが、性格傾向を事前に把握しておくことが、譲渡成功率・出戻り率に影響を与えているかどうかを調べるべきなのかなと思います。
どんなことが言える?
室内・室外飼育、多頭・単頭飼育、等はコントロールが頑張れば可能なのです。また、特に攻撃性などは問題行動に関わってくるので、飼育形態を変えることで、問題行動の改善にも繋がるのかも知れません。
いかがだったでしょうか?
猫の性格な性格診断が出来るようになれば、猫や我々がより健康に過ごすための方法を探る研究が進むかも知れません。
新しい研究報告が楽しみです。