健康で長生きしたいですよね。
そのためには、「心血管系の疾患」を予防するような取り組みを日常的におこなう必要があります。
近年は、「ペットの飼育」が非常に注目されており、「心血管系の疾患」を始めとする様々な健康効果が報告されています。
この記事では、「ペット」と「心血管系の疾患」の関係性についてレビューした研究を紹介したいと思います。
もくじ
■文献情報
〇題目
Emerging Cardiovascular Risk Research: Impact of Pets on Cardiovascular Risk Prevention.
〇著者
Schreiner, Pamela J.
〇雑誌
Current cardiovascular risk reports vol. 10,2 (2016): 8. doi:10.1007/s12170-016-0489-2
■研究概要 (序論~方法)
〇背景
動物とヒトの関わり方は多様で、野生動物や動物園動物、家畜から使役動物などが挙げられる。
特に「愛玩動物」としての関わりは非常にメジャーであり、アメリカでは推定1億8千万匹の犬猫が人と暮らしている。
彼らが人に多岐の健康効果をもたらすことは知られており、心血管系の疾患 (冠動脈疾患、脳梗塞、末梢動脈疾患) にもポジティブな作用を示すことが知られている。
しかしながら、それらの研究結果はすべてが一貫性のある物とは言えない。
〇目的
既存の研究結果を要約し、「心血管系の疾患」と「ペット」の関係性について議論すること。
〇実験・調査方法
文献レビュー
■研究概要 (結果~考察)
〇メインで得られた結果
肥満や糖尿病のような、心血管系疾患のリスクとなりえる疾患とペットの関係性は、ポジティブなもの、ネガティブなもの、どちらでもないものなど様々であった。
犬を飼っている人は運動量が高まるものの、それが「犬の直接的な効用」か「間接的な影響」かどうかは不明。
アレルギーや喘息とペットの関係性は、遺伝によるものかどうか分からないため不明瞭。
〇面白い・特筆すべき結果
ペットが抑うつや不安などの心理的状態にポジティブな影響をもつことは分かったが、「横断的な研究 (一時点を切り取ったもの) 」がほとんどであり、また、そのペットとの「絆の大きさ」に結果が左右される可能性がある。
〇筆者の意見・主張
ペットの存在は、よりよい「家族の安定」や「社会経済面」の指標となりうる。
そして、ペットが心血管系疾患へのポジティブな影響をもたらすには、「ペットを飼育する」という機会の提供、またそのような教育を改善していく必要がある。
■感想と転用
〇 危険な誇張表現
心血管系疾患を予防するには生活習慣を改善することが一番大切です。
動物と触れ合うか否かよりも、喫煙や運動量の低下がインパクトのデカい要因です。
これらの要因を前提に置いたうえで、じゃあ「より心血管系疾患にかかりづらくするにはどうすべきか」と考えた時、初めて「ペットの飼育」が手法として出てきます。
「ペットの存在」があまりにも大きく捉えすぎて、過度な (的外れな) 健康効果を提唱するのは危険ですね。
〇 研究のやり方の改善
生活習慣の因子を排除して統計解析をかけたり、ペットの健康効果があくまで「補助的な物」であることを前提に据えて研究を実施することが望まれます。
このようなレビューを参考にした上で、考慮すべき要因はどれなのかを事前に見極めることが、研究の発展には必要なのかと思います。