みなさんが飼っているペットは、健康ですか?
適正体重を維持できてますか?
人と同様にペットも、「肥満」は健康を害する疾患の一つです。
ペットの食事管理はすべて飼い犬がコントロールしているため、飼い主がペットの体重管理をすることは義務であると言えます。
この記事では、ペットが肥満になったときの「ダイエットの流れ」や「大事なポイント」を解説した、海外の記事を紹介します。
もくじ
■記事情報
〇 記事のタイトル
Each pet must be assessed on an individual basis and will require a nutritional plan targeted to its specific needs
犬と猫のための、ダイエット計画の段階的な取り組み
〇 著者
Vet Practice News
May 27, 2020
〇 サイト名
Catherine Lenox, DVM, DACVN
nutritionist with Royal Canin USA. She also teaches online nutrition continuing education through the Veterinary Information Network (VIN).
■ 記事の内容
『肥満』は「過度な体重」と定義され、身体機能や健康に悪影響をもたらす。
アメリカでは、「犬猫の半数以上が『過剰体重』もしくは『肥満』である」という調査結果もあり、非常に一般的な栄養学的疾患であるといえる。
『過剰体重』は20%までの体重超過、『肥満』はそれ以上の体重超過が定義とされる。
肥満は、「品種」や「避妊去勢の有無」、そして彼らの飼い主の「給餌方法」や「与える食事」など、様々な要因が結果となって現れるものである
〇 なぜ肥満は問題なのか?
肥満は、多くの健康問題を引き起こす。
例えば、糖尿病、心臓や呼吸器に関する疾患、変形関節疾患、腫瘍などなどの疾患を引き起こすリスクになる。
また、寿命も短くし、生活の質も下げることが分かっている。
さらに、獣医師による腹部を触診することも難しく、放射線や超音波などの診断時の邪魔にもなる。
〇 犬や猫へのダイエット計画
確立されたダイエット方法は、多くの肥満の動物たちの助けになります。
その手順は以下の通り。
1) ダイエット計画について、飼い主と連絡を取り合う
2) 栄養学的な評価を行う
3) 理想体重の計算
4) 必要エネルギー量の計算。
5) 今の食事量と必要エネルギー量を比較する
6) 給餌方法と、与える食べ物を選ぶ
7) 追跡で観察をする
しかし、特定の疾患 (腫瘍など) や、発達段階 (子犬や仔猫) の動物たちに対しては、特別な配慮が必要になります。
したがって、資格を持った栄養士との相談が不可欠です。
〇 肥満について飼い主と連絡を取る
ダイエットの成功には「コミュニケーション」が必要不可欠だが、これがむずかしい。
一部の飼い主は、そもそも自分の動物が「過剰体重」であることを認識していない。
また、飼い主自身が肥満であった場合、会話を始めることさえも困難になる可能性がある。
ペットの肥満について飼い主と連絡を取る際には、獣医師チーム全体で実施することが有効であり、それがコンプライアンスの改善に役立つかもしれない。
〇 肥満の診断および栄養学的評価
栄養学的な評価は、以下の2つ。
「身体状態スコア Body condition score (BCS)」
体の脂肪量を推定するのに役立ちます。9段階もしくは5段階で、ペットの体を評価します。
9段階なら4や5、5段階なら2や3が理想的なBCSで、これを超えていると過剰体重とみなされます。
「筋肉状態スコア Muscle condition score (MCS)」
BCSとは異なり、体の脂肪量を除いた筋肉量を推定します。4段階で評価を行います。
〇 理想体重の計算
上記のBCSの9段階評価では、1段階が体重の10%に相当します。
したがって、式にすると以下の通り。
理想体重 = 今の体重 / 係数
係数というのが、BCSによって変わってくる。
BCSが8であれば、理想のBCSから3段階高いので、すなわち30%の体重超過の状態であると考えられる。
よって、係数は「1.3」となる。
〇 必要エネルギー量の計算
エネルギー量は、以下の式であらわされる。
安静時エネルギー量 = 70 × (体重)0.75
体重の「0.75累乗」という意味になります。計算が難しいですが、「体重の数値を3回掛け算して、出てきた値に√(ルート)を2回かける」と算出できるようです。
電卓あるとかんたんですね。
犬であれば計算して出てきた値、猫であればさらに0.8をかけて出てきた値が、体重を減らすために必要な理想エネルギー量となる。
また、「現在の食事歴を元に割り出した今の摂取カロリー」から「20%減らして算出される値」を採用することも可能。患者によっては、こちらの方が良い場合もある。
〇 太り過ぎの動物たちへの食事の選択
減量用の療法食が望ましい。
これらのフードは、たんぱく質や必須脂肪酸、ミネラルやビタミンの濃度が高い。
一方で、エネルギーの密度は低いため、飼い主がペットに多くの餌を与えることも可能になります。
また、多くの飼い主は「間食」に大きなカロリーが含まれていることを自覚していないため、「間食」の数を減らしたり、種類を変える必要がある。
1週間当たり「体重の0.5~2%の減少」が理想的なダイエットといえる。
また、減少が早すぎる、もしくは遅すぎる場合は、カロリー摂取量を5~10%ほど調整する必要がある。
また、ダイエットが成功して理想の体重になったら、それを維持するためにカロリーを増やすように調整する必要も生じる。
したがって、ダイエット中の動物の様子や状態は、こまかく把握しておく必要がある。
■感想と転用
〇 飼い主が太ってた場合、話題に出しづらい (笑)
たしかに、そうですよね。笑
意識したことなかったですが、肥満のリスクを語ることが飼い主にとって耳の痛い話って場合ありますね。笑
アメリカだと、日本と比べて肥満率も高いだろうし、この問題は予想以上に深刻なのかも。
なんか、「獣医と医者」が提携して、『飼い主とペットの双方ダイエット計画』とかやったらいいんじゃないですかね。
異種間の2人3脚だからこそ、挫折しないかもね~。
❝一緒に長生きしよう!❞ 的な。
〇 モニターの大切さ
体重や身体状態を小まめにチェックするのも大切だと述べられていました。
意味合いは少し違いますが、人間のダイエットとかだと、体重は毎日測って把握した方がいいといいますよね。
意識づけになるみたいな。
動物の場合は、良くも悪くも人間が全部コントロールしているので、ダイエットさせすぎちゃったりして逆に健康を害さないようにする必要があります。
我々の体重観では若干の変化でも、動物にとっては大きな変化ですもんね。(100gの減少は、人で言えば1㎏くらい?)
感覚ズレそうで怖いですね。
ペットと一緒に人もダイエットして、双方が長生きできるようになるといいですね。