ペットを飼うと高齢者は幸せになる!?|ペットがもたらす健康寿命延伸効果

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近年は、医療技術・健康に関する知見の普及発展により、人の平均寿命や健康寿命は長くなっています。特に日本は、世界一の長寿の国といわれています。
また、猫などのペットの寿命も延伸しており、人とペットは今後、さらに長期間に渡って共生していくことが予想されます。

そんな中、「ペットが高齢者にもたらす健康効果」が注目されています。

この記事では「ペット飼育がもたらす高齢者の認知機能、身体機能、心理状態への健康効果」を研究した論文を紹介します。

 
 


 
 

■ 研究の紹介

背景

 

認知機能・身体機能の低下」「心理的な疾患の悪化」「死亡リスクや疾患率の増加」これらは加齢とともに生じます。50歳を超える高齢者人口の増加に伴って、彼らの健康の必要性は大きくなり続けるでしょう。
ペットの飼育は、高齢者のよりよい健康状態、特に慢性的なものと関係性があります。。
しかし、「加齢に伴うペット飼育傾向」「飼育者の健康状態」の関係性は分かっていません。

そこで、この研究では、地域社会に住む健康な成人の「加齢に伴うペット飼育」「認知・身体機能」「心理的状態」に関係性があるかを調査しました。

 

実験方法

 

「バルチモア縦断研究」に参加している、50~101歳の被験者378名を対象にした。

 

「バルチモア縦断研究」は1958年から始まった、人の健康を調査するアメリカの大規模国家プロジェクト

慶應義塾大学スポーツ医学研究センター ニューズレター 第 23 号[2016 年 9 月発行]大澤 祐介
http://sports.hc.keio.ac.jp/ja/current-research-and-activities/assets/files/newsletter/newsletter23.pdf

縦断的研究とは、数年~数十年にわたって被験者を追跡していく形の研究のことを言います。

 

以下のテストを実施した。

「認知バッテリー」
California Verbal Learning Test (CVLT) カリフォルニア言語学習テスト
Digit Symbol Substitution Test (DSST) 数字符号置換テスト
など

「身体機能」
日常的な活動レベル
歩くスピード
など

「心理学的テスト」
mental health subscale (MCS) of the SF-12 心理的幸福
Center for Epidemiologic Studies Depression Scale (CES-D) 抑うつ
Perceived Stress Scale (PSS) 不安
など

 

そして上記の結果と「ペット飼育に関するアンケート」の結果に関連性があるかを調査した。

 

 

実験の結果

 

・82%がペットを飼育経験があり、今も飼っている人は 24% (犬が14%、猫が12%)
・10年スパンで見た時、年齢が上がるごとに「ペット飼育」は有意に少なくなっていた
・ペットを飼育している人は、「一軒家」や「2人以上で生活」する割合が多かった

・ペット飼育は、「よりよい認知機能 (言語学習・記憶)」と関連性があった
犬の飼育は「高い身体機能」と関連性があった
猫の飼育は「よりよい認知機能 (言語学習・記憶)」と関連性があった

 

結論

 

「ペット飼育」高齢者世代では低い割合であることが分かり、これは低い健康状態のパターンを反映している物であった。

「ペット飼育」および「定期的なペットとの触れ合い」は、より良い「認知機能」、犬であればよりよい「身体機能」と関係性があることが分かった。

 

 

文献情報

 

Friedmann E, Gee NR, Simonsick EM, Studenski S, Resnick B, Barr E, Kitner-Triolo M and Hackney A (2020) Pet Ownership Patterns and Successful Aging Outcomes in Community Dwelling Older Adults. Front. Vet. Sci. 7:293. 

 

■感想と転用

 

ペットのもつ、高齢者への健康効果を示した素晴らしい論文でした。

ただ、結果の見方が、ちょっと難しいかったですね、、。
図6だと、犬も認知機能に、猫は抑うつにポジティブな影響があるようにも見えますが、、。

もう少し勉強して、読み込まないとダメですね。。

 

 

〇 どうやって高齢者にペットを飼育させるか

 

高齢者にとって、ペット飼育はポジティブな影響をもたらすものであることが示されました。
非常に素晴らしい結果ですね。

筆頭著者のErika Friedmannさんは「ペットと健康」に関する研究で非常に著名な方です。
このような大規模な国家プロジェクトを対象に研究できるのは、さすがだなと思います。

 

日本は世界一の長寿国で、かつ、高齢化に歯止めはきかなくなっています。
しかし一転して考えると、世界に先取りして「高齢化社会のモデル国」となるわけで、良いシステムを作れれば世界の見本になることが出来ます。

これは、ペット業界においても同様です。
すなわち「ペットから恩恵をうけるであろう高齢者に対して、いかにして飼育させるか」問題を解決する仕組みづくりにも言えることです。

ただ逆に、日本がペット最先進国と言えるかは、、どうでしょう。
英国王立動物虐待防止協会 The Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals (RSPCA)では、自分の遺産を残された自分のペットのために寄付する「ペット遺産」という仕組みがあったりします。この遺産で組織の運営が行われていたりと、自分以外のペットも救われる仕組みまで出来ています。

日本も、何年も前から各団体が動いており、「飼い主が先に死んだらペットを預かりますよ」という団体もあります。
ただ、仕組みの認知度は低く、海外ほど仕組みが整っているとは言えません。
ここは、これからの日本のペット業界の最大の課題になるのだと感じます。

 

 

〇 一番結果が出そうな心理学的効果

 

この研究では、心理的な側面の効用は見られませんでした。
過去の研究でも、これに類似した結果が多いようです。

 

この点については著者も着目しています。

使った尺度の種類が違うというスタンダードな理由もありますが、対象者の違いもあります。
過去の研究は「施設の高齢者」を対象にしているけれど、この研究は「健康な高齢者」を対象にしているので、その違いによるものかと考えられます。

また、「縦断的研究」だからこそ得られた知見であるとも考えられます。「高齢者の気分の落ち込み」が生じたからこそ (それによって?)「猫の飼育」を始めたかもしれません。だから、心理面の結果は出なかった、ということですかね。

なんか、分かるようで、分からないような、、笑。

 

 


 

 

いかがだったでしょうか。

ペット、および猫の飼育が「認知機能に好影響をもたらしていた」という研究結果は、拙著論文の結果「猫を触ると前頭前野が活性化する」因果的なサポートになるものと考えられます。
したがって、個人的にはとても嬉しい研究でした笑

爺さん婆さんになっても、猫を飼い続けていきたいですね~~。

 

p.s.
私の研究も、興味があれば覗いてください~~

「Effects of the characteristic temperament of cats on the emotions and hemodynamic responses of humans」
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0235188

「猫との交流(遊び・訓練)は人の脳を活性化して機能を高めるかも~思い通りに行かないからこそ楽しい!」
https://www.konekono-heya.com/news/2020/july/1.html