輪読会レポート 2019/06/12

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本日の輪読会は4題でした。

 

~~(=^・・^=)~~

題目1「Horses discriminate between facial expressions of conspecifics」
馬は同種の表情を識別する

J.Wathan, L. Proops, K.Grounds & K. McComb
2006, Scientific Reports | 6:38322 | DOI: 10.1038/srep38322

目的:

馬は、同種の他個体の表情を識別することができるか、を検証すること。

方法:

 

実験1:2枚の馬の顔面の写真(ポジティブ or ネガティブ or リラックス)を同時に提示し、行動を観察する。

実験2:1枚の写真(ポジティブ or ネガティブ or リラックス) を提示し、心拍数を確認する。

結果:

実験1:ポジティブ、もしくはリラックスの表情の方により近づき、ネガティブな写真を回避するような行動が見られた。

実験2:心拍数はポジティブな写真を見た時にわずかに減少し、ネガティブな写真の際にはわずかに減少した。

虎太郎所感:

耳の位置や形を基に判別しているのではないか、と考察しているそうです。

かなり古典的な研究なようでした。特に。社会性動物であるということが広く知られている馬であるのに、この側面はまだ調べられていなかったというのが驚きです。過去の研究との差分が気になりました。

 

題目2「Lateralization of spontaneous behaviours in the domestic cat, Felis silvestris」
イエネコの自発的な行動の側方化

Louise J. McDowell, Deborah L. Wells, Peter G. Hepper
Animal Behaviour 135 (2018) 37-43

目的:

イエネコが自発的に行う行動には、左右どちらの前肢を使うのかを確かめること (猫にも利き手が存在するかを確かめること!)。

方法:

強制的手法:前脚を使用してフードを触ることで、餌が落ちて、食べれるようになる装置を用いる
自発的方法:
①横ばいになる際の左右方向
②階段を降りる際の、最初につかう前肢
③トイレに入る際に、最初につかう前肢

上記の4つのお方法を、家庭猫44匹(オス:24匹、メス:22匹) に対して行う。実施は自宅で行われ、飼い主による行動のアンケート結果をもとに解析した。

結果:

『①横ばいになる行動』以外の2つの自発的行動において、左前肢を使う個体と右前肢を使う個体が分かれた。また、オスは左側、メスは右側の前肢が利き肢であることが分かった。

虎太郎所感:

過去に行われた類似研究は、私も拝見していました。その著者と同様の著者が行った研究のようです。前回の研究では行動を強制的に誘発させた場合 (瓶に入った魚の切り身を取らせる、など) を対象にしておりましたが、今回の研究では自発的な行動を対象にしていました。そこが、新規性の高い点です。

結果的にオスとメスで利き肢が分かれましたが、これは過去の研究の結果と一致しており、一貫性のある結果が得られたのだと言えます。

 

題目3「The quality of being sociable: The influence of human attentional state, population, and human familiarity on domestic cat sociability」
社会性における特性:人の注意状態および親密性、そして猫の個体群がおよぼす猫の社会性への影響

Kristyn R. Vitale, Monique A.R. Udell
Behavioural Processes 158 (2019) 11–17

目的:

『家庭猫』、および『保護施設の猫』の、人に対する社交性について分析する。
そして、それらの社交性が『個体群環境』『人の注意状態』『人の親密性』に影響されるうるのかを調査すること。

方法:

・実験1 (家庭猫 & 保護施設猫)
『人が注意をひきつける場合』:猫が人の周囲1mの中に入ってきたら、2回だけ撫でて、あとは無視
『人が注意をひきつけない場合』:人は周囲1mの中で、自由に猫とインタラクションする
この2つの種類の場面を設置した。猫が見知らぬ人が実験者として参加した。
この時の猫の行動 (動き、鳴音など) を分析した。

・実験2 (家庭猫のみ)
実験1が終わった段階で、今度は、猫の飼い主が部屋に入る。そして、実験1と同様の実験デザインで、再度実験を行った。

結果:

『家庭猫』および『保護施設の猫』はともに、『見知らぬ人』でも『飼い主』でも、『注意をひきつける場合』に、より多くの時間を人の近くで過ごした。
つまり、人が猫に注意を向けるか否かによって猫の行動は大きく変化する、ものの、その人の種類、すなわち親密性は、猫の行動に影響を与えないことが分かった。


また、『保護施設の猫』は『家庭猫』と比較して、『人が注意をひきつけない場合』に、より人の近くで行動し、鳴音の頻度も比較的多かった。

虎太郎所感:

文字で見ると複雑な実験のように見えますが、図表をみると一目瞭然の結果で、非常に面白かったです。

猫は『人そのもの』、よりも『人が起こすアクション』により関心があるようです。これは、猫飼いさんには非常に納得できる結果なのではないかと。

 

題目4「The Effect of Dolphin-Assisted Therapy on the Cognitive and Social Development of Children with Down Syndrome」
イルカセラピーがもたらす、ダウン症児の認知および社会的発達への影響

Richard E. Griffioen & Marie-José Enders-Slegers
ANTHROZOÖS VOLUME 27, ISSUE 4, 2014

目的:

Down syndrome (ダウン症)の子供に対するDolphin-assisted therapy (DAT) は、認知および社会的発達に影響をおよぼしうるのか検証すること。

方法:

DATを週に1回1時間、6週間にわたって行う。
Matson Evaluation of Social Skills for Individuals with Severe Retardation (MESSIER) を用いて、『言語化』『衝動性』『規則の適切な理解』『人の認識』『関係性の形成』といった項目を評価した。
グループA (18名) :DATのみ
グループB (10名) :スイミング療法ののち、DAT
グループC (17名) :6週間の待機期間ののち、DAT

結果:

スイミング療法や待期期間を行った場合には、評価項目で有意な変動は見られなかった。

しかし、DATを行った場合には、『人への認識』『言語化』という項目が改善し、『衝動性』は減少していた。

虎太郎所感:

MESSIERという尺度は、初めて見ました。
実験デザインが厳格なので、結果も信頼性の高いものなのだと考えられます。

ただ、イルカだと実施コストがめちゃ高いと思うので、犬猫でこれらの結果が得られるようなプロトコルが作れるといいなと思いました。

 

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今日の発表は動物種がばらばらで面白かったです。
認知行動学系の実験が多く、あいかわらず難しそうで、あいかわらず面白い内容でした。

論文2の猫の利き肢を調査した実験は、飼い主に実施を依頼したようです。あ~その手があったか~と思いました。被験者さえ集められれば、この手法で当研究室も行動学的実験いけるな、と思いました。

 

被験者さえ、集められれば、ですね、、

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