本日の輪読会は3題でした。
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題目1「Dynamic pressure effect on horse and horse rider during riding」
乗馬中の、騎手と馬への動的圧力効果
Graeme Nicol • Graham P. Arnold • Weijie Wang • Rami J. Abboud
Sports Eng (2014) 17:143–150
DOI 10.1007/s12283-014-0149-z
目的:
乗馬における、「馬」と「騎手」への身体的負担を軽減するため、鞍の種類による違いを検証すること
方法:
比較する鞍の種類は、「ウール」と「エアー」の2つ。
それぞれの鞍で乗馬をしたときの、馬と騎手が接する「臀部」の圧力のかかりかたの違いを比較した。
Pliance systemと呼ばれる機器を用いて、圧力を測定。
実験では、並足 (ゆっくり) から駈足 (とても速い) まで、4種類の速度の乗馬をおこなった。
結果:
馬は「エアー」の鞍では、ほとんどの乗馬速度において、圧力が減少した。
いっぽう騎手は、駈足の際に逆に圧力が大きくなった。
虎太郎所感:
「ウール」鞍の方が一般的なもので、「エアー」の方が比較的新しく開発されたものだそうです。
本研究では、「エアー」はどの速度においても、馬側の負担を軽減するようでした。しかし、騎手には逆に、場合によっては負担がかかるようでした。
この現象に関する著者の意見は、「馬と接触している感覚が得られない」ために無意識下で圧力が加わってしまったのではないか、と指摘しています。
ライダーがこの「エアー」の鞍にどれほど慣れていたかはわかりませんが、慣れることでこの問題は自然と消滅するのではないか、とも思いました。
よい鞍の素材の開発がすすみ、双方の負担がなくなればいいなと思います。
題目2「The Effects of a Short Forest Recreation Program on Physiological and Psychological Relaxation in Young Polish Adults」
ポーランドの若い成人に対する、短期的森林セラピーの心理および生理的リラクゼーション効果
Ernest Bielinis, Lidia Bielinis, Sylwia Krupin’ska-Szeluga, Adrian Łukowski, and Norimasa Takayama
Forests 2019, 10, 34; doi:10.3390/f10010034
目的:
短期的な森林レクリエーションによる心理、生理的効果を検証すること
方法:
実験は、成人21名に対して、ポーランドのレディカジニの森林公園で実施。
被験者は2日間実験に参加し、1日目はコントロール日として屋内で、2日目には野外にて実験を行った。
この時の、心理面の影響を Profile of Mood States (POMS) や Positive and Negative Affect Schedule (PANAS) で評価し、
生理面への影響を 脈拍や血圧にて評価した。
結果:
屋内で活動したコントロール日と比較して、
2日目の屋外での活動ではネガティブな気分が低く、脈拍と最大血圧も有意に低かった。
虎太郎所感:
森林セラピーへの短期的な影響を確認する、古典的な研究のように思いました。
コントロール日では、風の音や森林の映像を見るなど、屋外を模した活動を設定していました。
つまり森林セラピーは、単純な視覚、聴覚、触覚的な刺激による影響を使った単純セラピーではなく、複雑な要因が絡まり合ったセラピーなのだと感じました。
題目3「The effects of owning a pet on general self-efficacy in a negative life- changing scenario」
人生を変えるようなネガティブな物語において、ペットの飼育がおよぼす自己効力感への効果
Maaike ten Berge
University of Twente, 26-06-2019
目的:
ペットがもたらす、自己効力感への影響を検証すること
方法:
実験は、「ネガティブな物語」をきいた時の、自己効力感への影響を調べる形で行われた。
この時、ペットの飼育の有り無しで比較をすることで、ペットのもつ自己効力感への影響を調査する。
※ネガティブな物語は、『自分の愛する地元が消えてしまうことがわかり、自分ではどうしようもなくなる状況』を想起させるような内容です。
結果:
ネガティブな物語を読んだときの自己効力感の変動は、ペットの有無とは無関係であった。
虎太郎所感:
結果だけ見ると、あまり芳しい結果とはいえないですね。
この研究は、大学の学位論文 (修士?) の結果のようです。
当研究室の輪読会としては不適切な論文であり、少々読み応えにはかけますが、実験の目的や着目点が面白いので、非常に参考になりました。
プロトコルやデザイン、使用した尺度などを変えれば、ペットが自己効力感の低下を防ぐことを証明でき、非常に意義のある結果が得られるように思います。
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夏休み明け、初の輪読会でした。
4年生の発表がなくなり、数も少なくなるのですこし物足りないですね。
なんにせよ、学部生の皆さん、お疲れ様でした。