前回の続きで、3~5題目です。
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題目3「Black Cat Bias: Prevalence and Predictors」
クロネコへの偏見: その普及と予測因子
Haylie D. Jones and Christian L. Hart
Psychological Reports 0(0) 1–9 2019
目的:
黒猫に対する偏見について調査し、その偏見と関連性のあるパーソナリティを明らかにすること。
方法:
被験者は101名で、10枚の黒猫の写真と、10枚のその他の色の猫の写真を用意し、
「親しみやすさ」「攻撃性」「採用度(猫を引き取りたいと思う気持ち)」「猫の感情が読めるかどうか」
といった項目の評価をしてもらった。
また、被験者の宗教、迷信の信じやすさなどもアンケートを取り、上記の項目との関係性を確認した。
結果:
黒猫は「親しみやすさ」が低く、「攻撃性」が高いと評価される傾向にあった
また、「猫の感情が読みづらい」と感じる人は、より「採用度」も低い傾向にあった。
また、迷信を信じやすい人は、黒猫はより「親しみやすく」「攻撃性が高く」「採用度が高く」「感情も読みやすい」と評価する傾向にあった。
虎太郎所感:
迷信との関係性の部分が、よくわかりませんでしたね、、。なんか、逆の結果?にも見えるし。結構読んだんですが、読み取り不足ですかね、、。
日本では「クロネコヤマト宅急便」があったり、「魔女の宅急便のジジ」など、現代における黒猫に対しては悪い印象を持っている人は米国よりも少ないのかなぁとか勝手に想像します。
西洋諸国などの研究結果も見てみたいですね。
題目4「Evaluation of the potential suitability of guide dog candidates by continuous observation during training 」
訓練中の継続観察による、盲導犬候補の潜在能力の評価
Mina Mizukoshi, Mana Kondo, Toru Nakamura
Journal of Veterinary Behavior (2008) 3, 193-198
目的:
早期の段階で盲導犬になる資質を判断できるための指標を探すこと。
方法:
ラブラドルレトリバー8頭を対象に、いつもは使用しないコースで訓練を行った。
結果的に盲導犬になれた犬となれなかった犬で、
「ストレス反応の数 (転移行動やカーミングシグナル) 」「しっぽの位置」「鼻をなめる行動」「コースの完了時間」
などの項目に差が生じるかを検証した。
結果:
観察された8匹のうち、1匹が盲導犬になれた。
盲導犬になれた犬は、ストレス反応の数が少なく、しっぽの位置が犬の背よりも高い傾向にあった。
虎太郎所感:
実験の対象となるサンプルの母数がそもそも少ない場合、統計学的な処理が出来ないのがつらいところかと思います。
特に、個体における固有の気質の影響をみるような研究では、個体のバラつきを考慮できないのはかなり痛手です。
けれども、研究の結果は非常に価値があり、今後も同様の実験を行ってサンプル数を増やし、再現性の高い結果がいずれ得られるのではないかと思います。
題目5「Pigs (Sus scrofa domesticus) categorize pictures of human heads」
豚は人の頭部の写真を分類する
Marianne Wondrak, Elin Conzelmann, Ariane Veit, Ludwig Huber
Applied Animal Behaviour Science 205 (2018) 19–27
目的:
豚の視覚的な認知能力を明らかにし、人の頭部を識別できているかを知ることで、その知見を豚の飼育時における福祉の向上に役立てること。
方法:
豚は41頭が対象となった。
実験はまず
「人の頭部の正面」を正の刺激として学習させる群
「人の頭部の後頭部」を正の刺激として学習させる群
の2つに分けられ、頭部の前後を識別できるか確認した。
さらに、
「顔を逆さにする」「のっぺらぼうにする」「目と口のみを消す」
といった条件をくわえ、識別ができるかを検証した。
結果:
豚は人の頭部を「正面」か「後頭部」かで識別することが可能 (どちらも成功率が80%を超えた)であることが分かった。
正面を正の刺激としたグループでは、条件をくわえた際に成功率は50%まで低下した。
一方で、後頭部を正の刺激とした場合は、成功率は多くの条件で80%に近づいた。
つまり、細部ではなく、大きな特徴であれば識別することができることが分かった。
虎太郎所感:
福祉の向上を考えた時、この知見をどう応用するのか、、。
あまり顔が見えない帽子をかぶってはいけませんよ、マスクはしない方がいいよ、ということでしょうか。
顔が識別できるから、虐待しない方がいい、なのか。
他の知見と組み合わせないと、なんとも言いづらいように感じます。
とっても面白い研究でしたが。
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最後の研究は、割と実験の内容、デザインが複雑でした。
が、発表者の子はうまくまとめられていて、パワポも分かりやすかったです。
今日の発表者はパワポが上手い子が多かったので、良い感じでした。
お疲れ様です。