猫の飼い主さんは、「猫は気まぐれで独立性が高いから、1人でいる時間が長くても大丈夫~」と思っているかもしれません。
もしかしたらその考え、間違っているかもしれません。
この記事では、「『分離関連行動』と呼ばれる問題行動を持つ猫の割合を調べた」研究を紹介します。
もくじ
■ 論文の内容
〇 序論
動物の「分離関連問題」の発症を特定し予防することは、動物福祉、さらには人と動物の関係性の質にとって重要である。
「分離関連問題」とは「愛着を抱いてる人間と引き離された時に、一連の行動的そして生理学的に現れる兆候」として定義されている。
猫では、この「分離関連問題」に関する研究は進んでいない。
したがって本研究の目的は、「分離関連問題に当たるであろ行動を特定するための『猫の飼い主へのアンケート』を作り上げること」である。
また、調査対象の猫たちの「分離関連問題」の発症率と、「飼育管理方法」の関係性を調べることである。
〇 方法
調査対象となったのは、130人の飼い主と223匹の飼い猫。
「猫の性格特性」や「飼い主、環境、飼育の特徴」と、「分離関連問題」の関連性を調査した。
アンケートの内容は、「少数の猫を対象にした研究」や、「犬の分離不安症に関する文献」をもとに作成した。
〇 結果
223匹の猫のうち30匹、つまり13.45%が、「分離関連問題」とみなされる行動を「少なくとも1つ」示していた。
その30匹の猫のなかで、「破壊行動」は最も多く報告されていた。次いで、「過剰な泣き声」「不適切な排尿」「抑うつ・無気力」「攻撃性」「動揺・不安」が挙げられる、もっとも少ない数だったのは、「不適切な排便」だった。
そして「分離関連問題」の発症に影響を及ぼす可能性があったのは以下の通り。
「一緒に住んでる女性の数」
「おもちゃへのアクセス」
「他にペットがいないこと」
〇 考察と結論
猫の「分離関連問題」は、分かっていることが少ないため、特定するのが難しい事がわかった。
ただ、この研究で作られたアンケートは、「分離関連問題」に関連しうる主要な行動の特定を手助けするものであり、今後の研究の起点となるといえる。
■ 感想と転用
〇 女性と猫の強い絆
この研究の結果でも、「一緒に住んでいる女性の数が多い」と「社会関連行動」を起こしやすいことがわかりました。このような傾向は犬の研究でもみられているようです。
なぜ、このような結果が出たのでしょう。
著者による可能性の一つとして、「女性は男性よりも猫に対して大きな愛着を抱き、そして、猫も男性より女性との関わり合いを好む」からであると述べています。つまり、関係性が緊密なものであるが故に、猫は飼い主がいないときにストレス反応が生じやすいのではないか、ということです。
男性としては悲しい結果ですね、、。笑
また、女性の方が猫の示す「ボディーランゲージ」「行動」に敏感であるからとも考えられています。つまり、「猫のサインにそもそも気づきやすい」のではないか、ということですね。
なんか、ありそうな仮説ですね。
なんにせよ、結論を出すにはまだまだ研究が必要なようですね。
〇 遊び道具をたくさん用意するほうが吉?
また、「遊び行動」も関係していたようです。
完全室内飼育の猫たちにとって、「安全である環境」は、すなわち「刺激のない環境」となります。これは、猫にとって必ずしも良いわけではありません。
しかし、だからといって室外に猫を出すわけにはいきません。非常に悩ましいところです。
そこで重要なのが、遊び行動です。猫の「遊び行動」は、「刺激のない環境」における絶好の「ストレス発散の機会」となります。
遊び行動を引き出すのは、猫ちゃんによっては難しいかもしれません。ただ、最近では「猫の遊ばせ方を解説した本」も出ています。
猫ちゃんの健康のためにも、遊ばせ方を勉強してみましょう。
いかがだったでしょうか。
一見すると「ツンツン」して「独立性の高い」猫ですが、個体によっては一人にされることにストレスを感じるようです。
曲がり曲がって、愛を感じますね。
みなさんの飼っている猫ちゃんにも「分離関連行動」が見られたら、「愛されている実感」を噛み締めつつ、かかりつけの獣医さんにご相談してください😌