文献の情報
Quality of Life Measurement in Dogs and Cats: A Scoping Review of Generic Tools
犬と猫の生活の質の測定:一般的なツールのスコーピングレビュー
Fulmer, A. E., Laven, L. J., & Hill, K. E. (2022). Quality of Life Measurement in Dogs and Cats: A Scoping Review of Generic Tools. Animals, 12(3), 400.
背景・目的
材料と方法
調査計画・流れ
結果・考察
9つの論文では、主に3つの項目が共通で観察された。
【活動量】
「私のペットは以前と同じように活動している」「私のペットは普通に動いている」
【人などの外部環境への反応】
「留守から戻ると猫が挨拶してくれた」、「猫が周囲に興味を示してくれた」
【食欲】
「この7日間を考えて、○○は食事を楽しんでいたと言えますか」
また、猫においては、追加で2つの共通項目が存在した。
【気分状態】
「過去4週間、愛猫が幸せそうに見えたか」
【グルーミング】
「過去1週間の愛猫のグルーミングはどうでしたか」
現在の尺度ではあまり触れられていない、「動物の痛み」について評価する質問項目(グリマススケールなど)を追加すべきだと言及されています。
また、動物のQOLは「飼い主自身のQOL」にも左右されることが知られているため、そのような質問項目も必要かもしれないそう。
文献に対する感想・内容の転用 (抽象化)
犬では見られない、猫のQOL尺度に共通で見られた項目がとても興味深かった。
気分状態とか、犬のほうが顕著に見られそうですけどね。辛いときでも楽しそうな様子を見せちゃいそうで、評価しづらいんですかね。
また、グルーミングは、なるほどという感じ。高齢の猫ちゃんはグルーミングの頻度が減って毛がボサボサの子もいますし、無臭な猫にとってグルーミングは重要なQOLポイントなのかも知れません。
次の課題は?
尺度の統合なのかなと感じました。
質問数が40近くあるものもあれば、7つほどに集約されているもの。リッカード尺度も4~16ポイントだったり、Visual Analog Scale を使っていたりと、尺度ごとの特異性が強いのは課題点なのかと感じました。
獣医師会のような組織が、統合した代表的な尺度みたいのを開発すれば、比較検討もしやすくなるし、有益なんじゃないかと感じます。
どんなことが言える?
このようなQOL尺度は、一般的に病床に伏したペットを対象にした尺度だと思います。
ただ、健常なペットにも適応できそうな気がします。グルーミングや食事量、運動量など、健康なうちから評価することを習慣づけていれば、早期の疾患の発現にも繋がるのかなと感じました。