ペットは認知症を予防してくれない?|米国の縦断コホート研究

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ペットが飼い主の健康にもたらす影響は多数報告されています。

特に近年、高齢者へのペットの有益性を証明しようとする研究が盛んであり、認知機能への影響も注目されています。

しかし、本当にペットは認知症予防に寄与する存在なのでしょうか?

今日紹介する論文では、「ペットの飼育と認知症の発症率の関連性」を調査しています。

 


もくじ

文献の情報

Pet Caretaking and Risk of Mild Cognitive Impairment and Dementia in Older US Adults
米国人の痴呆症および軽度認知症のリスクとペットの飼育管理

Branson, S., & Cron, S. (2022). Pet Caretaking and Risk of Mild Cognitive Impairment and Dementia in Older US Adults. Anthrozoös, 35(2), 203-217.

背景・目的

ペットが種々の疾患の罹患リスクと関連性があることは知られている。

そこで本研究では、認知症・軽度認知症のリスクとペットの飼育に関連性があるのかを調査した。

材料と方法

調査計画・流れ

過去に実施された縦断的観察コホート研究から得られたデータを使用。

2年毎に調査を実施し、ペットの飼育歴、認知症の診断を始め、喫煙歴や運動頻度などを追跡調査し、関連性を調べた。

結果・考察

ペットの飼育者(n=673)とペットの非飼育者(n=1,578)が対象となった。

ペットの飼育者は、非飼育者よりも、「年齢が若い」「運動頻度が高い」「糖尿病に罹患している」「喫煙歴があり」といった結果が得られた。

しかし、「認知症」「軽度認知症」に差は見られなかった。

文献に対する感想・内容の転用 (抽象化)

とても大規模な縦断的な研究なので価値が高いように感じます。ただ、大規模になると、結果の解釈が難しくなる部分も多いなと感じます。

例えば、「糖尿病」「運動」「ペット飼育」の3関係は非常に複雑です。本来なら、運動習慣は糖尿病を予防するはずなのに、本研究では一見すると矛盾したような結果が得られました。

これは、「糖尿病だからペット飼ってみた」「糖尿病だから運動している」といった背景があるのかも知れません。解釈が難しいですが、これを厳密に調べようとすると、研究が大規模になればなるほど難しいのだと思います。

また、今回の研究では「Health and Retirement Study」という国規模の大きなプロジェクトのデータを扱っています。つまり、別にペットの飼育に注目して、特化して行われた研究のデータではない点が難しいです。ペットの飼育に特化した(質問の具象度の高い)大規模な調査を行う必要があるんだな~と感じました。

次の課題は?

ペットの種別での調査が必要なのかなと感じます。

この論文では「ペットの飼育」とひとくくりにされており、分けて解析されていませんでした。猫も犬も飼育形態が全然違いますし、結果も異なってくると思います。

横断的な研究では、猫の飼育が前頭前野の認知機能に影響をおよぼすことが明らかになっています。この、横断研究と縦断研究の結果のギャップが気になりますね。

 

 

いかがだったでしょうか。

ペットの飼育と認知症予防に関連性が見られなかったのは残念です。

個人的にはですが、ただ意識をせずペットを飼っていても、そこまでの健康効果は得られないんじゃないかな~と感じます。

能動的に、「認知症に効くぞ~」という意識や目的性を持って飼育管理をするような心がけが大切な気もします。

ペットとの暮らしで、より豊かになりたいですね。

 

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