論文紹介 No.1|2020年1月6日|ペットの健康効果を真に知るためには、社会・人口統計学的属性をもっと考慮にいれるべきだ、という話

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本日より、定期的に学術論文の紹介をしていこうと思います。

私は半年ほど前から今まで、学術論文を筆写する (書き写す) ことをタスクとして掲げていました。まずAbstract (要約) を全文書き写し、あとは重要そうなところをピックアップする形で、頑張って書いてました。

なんでこんなことをしているかっていうと、大きく分けて2つのメリットと動機があるからでした。

「英語論文を書く技術」「英語論文を読みとく技術」

論文を読むと、当然ですが知識が増えます。それは、「研究分野に関する知識」と「英単語に関する知識」です。

同分野の複数の論文を読んでいると、同じ単語が複数回でてきます。私は毎度忘れるんで、都度、英英辞典 (私はCollinsを使ってます) で調べて学んでいます。これをすると、クリティカルに私に必要な英単語の知識を身に付けられます。

また、(日本語の論文でも同じですが) 英語論文を書くとき、いかに文献の幅広い知識があるかで、考察の展開の仕方に多様性が備わります。つまり、定期的に論文を読みこんで知識として蓄えることで、それは「論文を書く」ときに重要な武器になります。

また、筆写作業は、自分が英語論文を書くときの技術も高めてくれます。「文章構造」を正確に把握したり、「冠詞などの細かいニュアンス」を学んだりすることができ、これは、自分が論文を作成する際に役立ちます。

さらにさらに、筆写作業は、文献における肝、抑えておかなければいけない文章部分を効率的にサーベイする技術の勉強にもうってつけです。

上記いがいにも、山ほどメリットや動機がありますが、それはまた別の機会で書きたいなと思います。

で、

いままでは、筆写したものをEvernoteでストレージしたり、iThoughtsでマインドマップの枝にしてまとめたりしていただけだったのですが、これも記事に出来たら効率いいな、と思い、始めました。

時間制限をつけてタイムアタックで書き写しているので、かなり要約した内容だけ載せます。ご了承ください。

題目

Exploring the differences between pet and non-pet owners: Implications for human-animal interaction research and policy
ペットの飼い主と非飼い主の違いの調査: 人と動物の関係性の研究とその方針の発展

著者

Jessica Saunders,Layla Parast ,Susan H. Babey,Jeremy V. Miles

雑誌情報

PLOS ONE | https://doi.org/10.1371/journal.pone.0179494 June 23, 2017

研究目的は?

ペットを飼っている人と飼っていない人、両者の違いを明確にした上で、それらの情報を考慮に入れた上での解析をすることで、ペットのもつ健康効果を明らかにするための『解析方法』を見つけること。

被験者は?調査の手順は?

California Health Interview Survey (CHIS) より、4万と44人 に電話で調査を実施。

どんな評価・分析を行った?

まず、ペットの飼育の有無によって、被験者はどう属性が異なるのかを明らかにする。

そして、「それらの被験者の属性」に重みづけをしてロジスティック回帰分析を行う。

どんな結果が得られた?

ペットを飼っている人は、女性の方が多く、地方に住みがちだった。
そして健康面で言えば、BMIの数値が低く、一般的健康の数値が高かった。

しかしながら、「健康に関連した属性 (健康保険、医療サービスへのアクセスなどなど)」に重みづけをして解析をすると、動物を飼育することで得られるメリットは小さくなった。(有意差が無くなった)

どんなことを主張している?

動物の健康効果を調べるなら、被験者の健康状態、健康に関する情報を、しっかりとリサーチした上で解析をかけないと、ただしい結果は得られないよ。

虎太郎の所感

この研究は、方法論的な側面に焦点を当てた研究です。

賛否両論のある動物の健康効果は、「被験者の属性を考慮にいれていないから」という論理でした。

結局、重みづけをしてしまうと、ペットの飼育効果の有意性が消えてしまうという結果になってしまい、個人的には残念です。

ただ、「差はある」というニュアンスで著者も言っているように、「解析の方法」、さらにいえば「調査の際の評価手法」などにも工夫を凝らしていけば、もっと違った動物の健康効果発現が定量化できるのではないかと思います。

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