猫が好む「爪とぎの形状」は、なんと「あの形」でした。
もくじ
■文献情報
〇題目
Preference of kittens for scratchers.
〇著者
Zhang L, Plummer R, McGlone J.
〇雑誌
J Feline Med Surg. 2019;21(8):691‐699. doi:10.1177/1098612X18795258
■研究概要 (序論~方法)
〇背景
猫を飼っている人ならご存知の通り、猫はとっかかりやすい表面の物体に爪とぎをする習性がある。
爪とぎは、「爪の手入れ」「マーキング」「体のストレッチング」等の様々な役割があるが、時と場合によっては、飼い主を悩ませる問題行動になる。
〇目的
仔猫の、爪とぎの好み (形と匂い) を調べること。
〇被験者情報
8週齢よりも幼い仔猫40匹
〇実験・調査方法
2種類の爪とぎを部屋に設置し、仔猫を1匹づつ部屋に入れ、10分間の行動をビデオにて観察する。
どちらで爪とぎする時間が長いかを確かめた。
爪とぎの形の種類は「S字」「平面」「立体 (柱型) 」など様々。
匂いの種類は、「キャットニップオイル」「キャットニップの苗木や葉」「猫の毛 (化学的匂い物質) 」など。
■研究概要 (結果~考察)
〇メインで得られた結果
「S字型の段ボール製爪とぎ」が最も人気だった。
〇面白い・特筆すべき結果
あまり匂いには影響されておらず、顕著な違いは見られなかった。
〇筆者の意見・主張
匂いに反応しなかったのは、まだ幼く発達過程であったから (オピオイド受容体のシステムの未発達) によるものではないか。
■感想と転用
垂直方向のようなポールが人気かなと思っていたので、S字シェイプは意外でした。
実際、過去の研究ではポールが人気だったらしい。たぶん仔猫じゃないけど。あと、アンケート調査。Moesta, A., Keys, D., & Crowell-Davis, S. (2018). Survey of cat owners on features of, and preventative measures for, feline scratching of inappropriate objects: a pilot study. Journal of Feline Medicine and Surgery, 20(10), 891–899. https://doi.org/10.1177/1098612X17733185)
ただ、実験の条件設定が難しく、なかなか断定はできないようですね。
〇 こんな研究あるんだ(笑)
猫の爪とぎの好みを調べよう!と思った人、めっちゃ面白いな。
福祉には直結するとっても大事な着目点なのに、意識したことありませんでした。
〇 成猫版は?
たしか以前、成猫でも似たような実験の記事を見た気がします、、。見つけたら、また記事に投稿しようと思います。
体の大きさの違いから安定感も変わってくると思いますし、違った結果が見られるのかなと思います。 (体重いからポール状の物を好むのでは、、?)
オピオイド受容器官も発達しているため、結果は違ってくるだろうと思いますし。