もくじ
■文献情報
〇題目
Domestic cats’ reactions to their owner and an unknown individual petting a potential rival
〇著者
Benoit Bucher, Minori Arahori, Hitomi Chijiiwa, Saho Takagi, and Kazuo Fujita
〇雑誌
Pet Behaviour Science 2020, Vol. 9, 16 – 33
doi:10.21071/pbs.vi9.12176
■研究概要 (序論~方法)
〇背景
人間には一次感情と二次感情があり、その二次感情の1つとして『嫉妬』がある。
嫉妬は、「関係性の維持や保守」に関わる重要な感情。
この嫉妬という感情は、成人だけでなく、幼児、はたまた犬にも存在することが研究から分かっている。
〇目的
猫にも『嫉妬』という感情が存在するのかを確かめる研究
〇被験者情報
自宅で飼われている、もしくは猫カフェで飼われている猫52匹
〇実験・調査方法
「猫に似ているリアルな人形」
「毛皮のクッション」
上記2つの物体を猫が撫でている時、猫はそれを見てどのように反応するのかビデオで観察した。
また、比較のために、「猫の飼い主」と「猫の見知らぬ人」の2者が物体を撫でている場面を猫に見せ、その反応を観察した。
■研究概要 (結果~考察)
〇メインで得られた結果
特に飼い猫は、見知らぬ人が撫でている場面と比べて、飼い主が「猫に似ているリアルな人形」を撫でた時により大きな反応 (その人形を見つめる時間) を見せた。
〇面白い・特筆すべき結果
しかし、猫が「飼い主」もしくは「猫の見知らぬ人」に対して示す行動 (物体ではなく人の方を見る、『触らないで~』って感じで撫でるのを妨害するなど) には違いが出なかった。
つまり、嫉妬という感情が猫に存在するという確かな証拠は見られなかった。
〇筆者の意見・主張
猫が嫉妬の感情を示す可能性は見られた。
一方で、猫の生態により合致した、信頼性の高い実験方法が必要である。
また、猫の飼い主に対する愛着度合いなども、『嫉妬』の行動への表出に関係してくるのかもしれない。
■感想と転用
〇 実験めちゃむず
行動心理学的な実験は、実験条件の設定がホントに難しく、大変だな~といつも思います。
行動制御の難しい猫を対象にしていることで、輪をかけて難易度を上げていると思います。
〇 嫉妬ってありそうよね
多頭の猫を飼育している方は、嫉妬に類似した行動を見かけることがあるといいます。猫漫画や知り合いのエピソードトークでは、「撫でる順序を間違えるとスネるのよね~」みたいなことを聞きます。
けっこうマジな感じの書籍でも、「新入り猫をかまうまえに、先住猫を先にかまってあげましょう~」みたいな文面を見たことあるきがします。
私自身の実体験はないのですが、猫も嫉妬心をむき出しにする瞬間がありそうだなとは思います。
主観は強いですが、アンケート調査などを行えば、あぶりだすことも出来そうですね。